クラブ内にあったレアル・マドリーの答え ジダン体制の再現に期待 ソラーリ新監督

就任から4連勝 逆転優勝の可能性も再燃

就任後無傷の4連勝を果たし、ソラーニは正式な監督としての契約を勝ち取った 【写真:ロイター/アフロ】

 暫定体制としてスタートしたものの、ソラーリの監督就任はジネディーヌ・ジダン体制への回帰を意味した。ソラーリは一見すると冷静沈着な男だ。喜怒哀楽の表現が豊かな方ではなく、テクニカルエリアで派手なジェスチャーを交えて騒ぎ立てることは好まない。フットボールはシンプルな競技であり、選手たちに過剰なプレッシャーをかける必要もないと考えている。

 ソラーリは2000年代初期にビセンテ・デルボスケの指揮下であらゆるタイトルを勝ち取ったチームの一員だった。ジダンがチャンピオンズリーグ3連覇を成し遂げた近年においては、Bチームの監督としてトップチームと密なコンタクトを保ってきた。

 まだトップチームでは4試合しか指揮していないが、既に彼の狙いはピッチ上に表れている。選手たちをプレッシャーから解放し、シンプルなフットボールに回帰した上で、これまでチャンスを与えられなかった選手も含めて試合ごとに調子の良い選手を起用する。そうすることで長らくチームを苦しめてきた決定力不足は自然と解消され、選手たちも徐々に自信を取り戻し始めた。

 就任以降の4連勝に加え、ソラーリはライバルチームのつまずきという幸運にも恵まれた。首位バルセロナがメッシの復帰戦となった11日のベティス戦で予期せぬ敗戦に見舞われたからだ。まだ順位は6位ながら、これでバルセロナとの差は勝ち点4に縮まった。逆転優勝の可能性も再燃し、ソラーリは正式な監督として21年までの契約を勝ち取ることになった。

辛抱強く試合を重ね大金星を挙げたベティス

首位バルセロナから4ゴールを奪ったベティス。スペクタクルな試合を展開し、大金星を挙げた 【写真:ロイター/アフロ】

 最後に、バルセロナ相手に大金星を挙げたベティスについても触れておきたい。

 前節のセルタ戦では2点のリードを保つことができず、4戦未勝利となった数日前まで、キケ・セティエン監督は地元ファンから痛烈な批判を受けていた。

 それがカンプノウの一戦では、近年バルセロナと対戦したチームの中でも指折りのスペクタクルなフットボールを見せ、4ゴールを奪う快挙を成し遂げることで評価を一変させてしまった。

 テクニカルなプレーが常に結果に結びつくわけではない。だが目指すプレースタイルを明確に描き、高いプレーレベルを維持しながら辛抱強く試合を重ねていけば、自然と結果はついてくるものである。

 ベティスの素晴らしい勝利は、そのことを改めて証明してくれた。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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