ロッテ・福浦 2000安打インタビュー「声援が僕の体を動かしてくれた」

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マリンで井口監督を胴上げするために

10月8日、ZOZOマリンでのソフトバンク戦の前に名球会入りの証であるブレザーを授与された 【写真:BBM】

 43歳を目前にしての2000安打達成。しかし、これで終わりではない。やり残していることは、まだたくさんある。中でも、マリンで井口監督を胴上げすること。そのためにできることは何か。“幕張のレジェンド”の歩みは止まらない。

──1993年秋のドラフトで全体最後となる64番目に投手として指名され、1年目で打者に転向し、2000安打を達成するというストーリーを自分ではどう振り返りますか。

「信じられない」のひと言ですね。先輩方も、僕と同期入団の人たちも、誰もが「まさか、あの福浦が」と思っているんじゃないですかね。僕自身もそうですから。

──打者転向を強く勧めてくれた当時の2軍打撃コーチで、のちに監督も務められた山本功児さんの存在は大きなものだったと思います。

 本当に感謝の気持ちしかないですね。天国で(2000安打を)喜んでくれていると思いますし、今でも見守ってくれているのかなと思います。山本さんがいなければ打者になることはなかったでしょうし、ピッチャーを続けていたら、もうこの世界にはいなかったかもしれないですから。

──打撃について山本さんから直接教わったものはありますか。

 言われ続けたのはルーティーンについてですかね。特に1軍に上がってからは打席に入るときのルーティーンがちょっと違ったりすると「今日、違うよ」とか。だから打席に入る前の屈伸であったり、ネクストでやることであったり、ルーティーンは変えないようにしています。

──ルーティーンについては、誰もが福浦選手の試合への準備は見習うべきものだと声をそろえています。

 そこも変わらないですね。ただ、それは当たり前にやっていることだし、僕は入念にアップをして、しっかり準備をしないとバッティングもできないタイプなので。アップをしなくても動ける人もいますしね。サブローなんかはろくにアップもしないで、ちょっとティー打撃をして、いきなりフリーバッティングでフルスイングをしてスタンドに放り込んでいましたから(笑)。だから人それぞれ準備の仕方というのは違うでしょうし、一概に僕のやり方がいいとも言えない。

──福浦選手も試行錯誤の末に今のやり方にたどり着いたのでしょうか。

 若い時はやっていませんでしたから。年齢を重ねて、ケガをしたりとかして、自分には準備が大事なんだと思うようになった。それは自分で見つけていくしかないんじゃないですかね。

──あらためてプロ25年目での2000安打達成に、「振り返ると長かった」という言葉がありました。

 長かったですし、幸せなことなのかなと思います。この年齢まで選手としてやらせてもらって、2000安打まで打たせてもらって。

──ただ、これで終わりではなく、現役続行を口にされています。やり残していることは何でしょうか。

 やり残していることはいっぱいありますけどね(笑)。でも、なかなか僕の力だけでは無理なことなので。今年は打撃コーチ兼任でスタートしましたが、個人のこともあって途中で外れることになりました。二軍も含めた今いる選手たちにしっかりとバッティングを教えて、このマリンで井口監督を胴上げしている姿が見たいなと思いますね。

──現役という形にこだわるのは。

 コーチになったら自主トレもできないですし、一緒に体を動かすことがなくなってしまう。一緒にグラウンドに立って、一緒に練習をして、一緒にバッティング練習もやって。一緒にやるからこそ伝えられるものがあると思っています。

──来季に向けて、井口監督を胴上げするために今のチームに必要なものは何だと感じていますか。

 打撃の面で言えばチームの底上げでしょう。今季は(鈴木)大地、井上(晴哉)、(中村)奨吾、田村(龍弘)あたりがレギュラーで出ていましたが、もっと得点力を上げられるように、少しでもピッチャーを助けられるように。平沢(大河)や安田(尚憲)などまだまだ伸びる若い選手もいますから。チームが強ければお客さんはもっと盛り上がると思いますし、少しでもアドバイスをして、教えていけたらと思っています。

──選手として続けられる以上は、ファンもさらに大きな声援を送ると思います。

 そうですね。1本でもお客さんを喜ばせられるようにやっていきたいと思います。どんなときでも暖かい声援を送ってもらい、2000安打に向けても最後は僕自身も気力で打席に立っていましたけど、やはりファンの声援というものが僕の体を動かしてくれていたので、本当に感謝しています。その気持ちに応えられるように、まだまだ頑張っていきたいですね。

(取材・構成=杉浦多夢、写真=高塩 隆、榎本郁也(インタビュー)、BBM)

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