No.1のファミリーとともに「新旧融合」へ HCに聞く、○○はうちがNo.1 奈良編

カワサキマサシ

序盤のテーマは新旧の融合か

新たなシーズンを迎えるにあたり、奈良が序盤戦のテーマとするのは「新旧融合」だ 【(C)B.LEAGUE】

「スーツを着てベンチに座っているのは、まだ慣れませんね(苦笑)。昨季の開幕時はアシスタントコーチも兼務していましたが、気持ちの中では8割以上が選手でした。シーズン途中に急きょヘッドコーチ(HC)になって、それまでよりも広い視野で物事を見ないといけないことに気付かされ、今まで見ていたコートの風景が一変しました」

 石橋晴行は43歳だった昨季に、選手兼アシスタントコーチとしてバンビシャス奈良に新加入。しかしクラブはチームの成績が振わなかったことから、2月にジェリコ・パブリセビッチHCとの契約を解除し、替わって石橋がHC兼選手として采配を振るった。

「ジェリコHCがやろうとしていたことはチームも理解していたのですが、それをうまくコートで表現できず……。結果が出ないことが続いて、負のスパイラルにハマってしまいました。B3降格まで見えてきて、ひと言で言うと苦しいシーズンでしたね」

 新たなシーズンを迎えるにあたっては選手登録を解除し、アソシエイトHCとしてチームの指揮を執る。

「今季のチームには、昨季はB1でプレーしていた選手が多く加わりました。中でも横江豊は滋賀(レイクスターズ)、石塚裕也は西宮(ストークス)、ジェフリー・パーマーは横浜(ビー・コルセアーズ)で、それぞれ残留を争う厳しい戦いを経験しています。彼らの経験値はチームに大きな影響を与えてくれますし、全体的に選手の質も上がりました。

 一方で昨季から引き続いて奈良でプレーする選手も、5人います。昨季の奈良で悔しい思いをした彼らは、勝つことは甘くないとあらためて身に染みたようで、危機感をにじませています。練習に取り組む姿勢にも必死さが表れていますし、去年のこの時期とは雰囲気がまったく違う。共に昨季に厳しい経験をした既存の選手と新加入選手が融合すれば、メンタル的にもタフなチームになれる。そうなれば、それはチームのストロングポイントになると思います」

「クラブとボランティアさんはファミリー」

 40歳を過ぎても現役選手であり続けたが、HCとしては今季が実質的に1年目。これまでに仕えたHCのスタイルを取り入れながら、石橋HCはこんなチームを作ろうとしている。

「ガードにスピードのある選手が多いので、フロントコートに速くボールを運んで、得点機会を増やしたいです。そのためにはウイングも含め、日本人の得点が増えてこないといけないし、シュートの精度を上げることも課題。昨季はセンターに強い外国籍選手がいて、そこにいかにボールを入れるかだったので、それとはまったく違う形になります。速い展開に持ち込んで全員で得点して、80得点は取れるようなチームにしていきたいと考えています」

 石橋は1996年に日立大阪ヘリオスでキャリアをスタートさせ、大阪エヴェッサの前身である大阪ディノニクスを含めれば、計10チームを渡り歩いてきた。その目でさまざまなクラブを見てきた経験から、奈良がリーグでNo.1だと誇れることを、こう話してくれた。

「ボランティアの方たちは、本当に頑張ってくれています。予算が潤沢にあるクラブなら、試合会場の運営などは人を雇えばいいのかもしれませんが、僕らはそうではありません。ボランティアの方々がいないと、試合の運営すらままならない。ボランティアのみなさんは僕ら以上に、チームに対してプライドを持たれていますし、勝ち負けにも熱くこだわっている。チーム、クラブとボランティアさんは、ファミリーのような関係なんです」

 奈良のボランティアスタッフは、bjリーグ時代の2013−14シーズンにチームアシスト賞を受賞した。試合会場に足を運ぶたびに、ホスピタリティー精神にあふれる彼らの働きぶりには感服させられる。熱い声援をくれるブースター、そして厚くチームをサポートしてくれるボランティアスタッフへ。石橋HCは、ひとつでも多くの勝利を届ける決意でいる。

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著者プロフィール

大阪府大阪市出身。1990年代から関西で出版社の編集部員と並行してフリーライターとして活動し、現在に至る。現在は関西のスポーツを中心に、取材・執筆活動を行う。

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