闘志を内に秘め、紳士的なチームであれ HCに聞く、○○はうちがNo.1 金沢編

加藤裕

金沢武士団のモットーは「紳士的」

金沢武士団のモットーは「紳士的」であること 【(C)B.LEAGUE】

 昨季から金沢武士団を指揮し、2シーズン目の開幕を迎える堀田剛司ヘッドコーチ(HC)に「これは金沢武士団がリーグNo.1」と誇れることは何かを尋ねると、「あまりよそと比較はしないのですが……」と前置きした上で、「シーズンを通して、テクニカルファウルが1つもなかったこと」を挙げてくれた。

 実際のところテクニカルファウルは4つあり、1つも無かったのは「ベンチ」テクニカルファウルだったのだが、それでもベンチテクニカルがゼロだったのは、昨季B1ではシーホース三河、そしてB2では金沢のみだった。堂々の数字である。堀田HCの温和な性格を差し引いたとしても、チームがフラストレーションをためずに戦えている証拠だろう。

「ゲームが思うように運ばなくても、不満を言ったり暴言を吐いたり、そういう選手がいない。これまでチームの方針として『紳士的なチームを作る』というのがあって、それは昨シーズンもできていたし、今シーズンもそういう選手を取ったので、継続してできるんじゃないかと思っています」

 闘志を内に秘め、粛々とやるべきことを実行する。チームのそんな姿が目に浮かぶ。

「特別、指示をしているわけではなく、そういう意識の高い選手が集まっていると思います。僕らはチームですから、チームである以上、お互いに気遣いや気配りが大切です。ブースターへの対応、あいさつ、器具の準備や片づけ、掃除……どれもプロ選手として、見本にならないといけません」

多彩な戦術とフォーメーションを操る戦略家

 もうひとつ、金沢武士団が「No.1」ではないかと思わせるのが、戦術やフォーメーションの多さだ。

「(リーグで)No.1かどうかは分かりませんが、戦術を考える時間は多いですし、シンプルなものから複雑なものまで、フォーメ−ションの数は相当多いと思いますね。シーズンが進むにつれてどんどん増えていくと思います」

 新潟アルビレックスBBのアシスタントコーチ時代にも戦術分析を担当していた戦略家・堀田HCは、どんなときに戦術を練っているのだろうか?

「シーズンが始まったら、ゲームの日はスカウティングであまり寝ないですね。布団に入るといろいろなことを考えてしまうんです。試合でこんなことやってみようとか、寝ようとするといろいろな考えが浮かんで、それがまた結構いいアイデアだったりするんです(笑)。そうしたら起きて、メモして、また寝るんですけれど、その繰り返しですね。寝られないですよね」

 今季も堀田HCの夢のようなひらめきから、スペシャルな戦術が生まれるかも知れない。

注目は、現チームで唯一の石川県出身選手

 金沢にとって、2018−19シーズンは大きな転機となりそうだ。昨季は全60試合スタメンフル出場を果たしキャプテンも務めた月野雅人が、B2東地区の仙台89ERSへと移籍。昨季1試合平均20.4ポイント、B2得点ランク3位に入った攻撃の要、アンドリュー・フィッツジェラルドはB2愛媛オレンジバイキングスへ、さらにインサイドを支えたベテランのウェイン・マーシャルはB2信州ブレイブウォリアーズへと、それぞれ移籍したのだ。

「月野選手に関しては昨季、キャプテンとしてチームをまとめてくれて、出場時間もチームで一番長かった(31.8分、B2全体でも4番目)ので、そういう部分では穴が大きいと思われるかもしれません。けれど、今季からキャプテンの与那嶺翼選手を中心に、新加入の柳川龍之介選手、司令塔の本間遼太郎選手ほか、そこを補える選手はいます。外国籍選手についても、デンゼル(・ボウルズ)選手は得点力がすごく高いですし、新潟時代に一緒にプレーしていたライアン(・リード)選手は性格もいいしバスケットIQも高いですから、仕事をしっかりしてくれる選手です。前からまた一緒に戦いたいと思っていた選手なので楽しみです」

 今季、特に期待する選手、注目してほしい選手について質問を向けると、すぐに答えが返ってきた。

「今季は木田(貴明)選手ですね。『金沢の看板選手になってくれ』と本人にも伝えました。昨季は特別指定で途中から入って来て、少し遠慮している部分もあったかなと思います。ミスをして怒られたりもしていましたし。でも今季は最初から『自分が背負っていくんだ』という意識を持って練習からやらせているので、本当に良くなっていますよ。楽しみにしていてください」

 現チーム編成では唯一の石川県出身選手(加賀・錦城中→金沢高→青山学院大)であり、地元の期待を背負う木田の飛躍に期待したい。

 最後に、今季の意気込みと目標を聞いた。
「各チームの移籍や補強を見ると、B2は間違いなく昨季よりもレベルが上がると思います。昨季は本当にブースターの皆さんの声援が力になって、ホームゲームの勝率も高かったので、もっともっと声援が増えてほしいし、皆さんに面白いバスケットボールを見てもらって勝ち星を増やしていけるよう、自分たちの仕事をしていきたいですね」

 群雄割拠の戦国B2で、金沢武士団の第2章が幕を開ける。

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