2強の川崎、三河も侮れない富山の攻撃力 B1リーグ開幕プレビュー 中地区編

『hangtime』編集部

生まれ変わった富山が2強を脅かす?

アーリーカップ北信越を制した富山は今季のダークホース候補だ 【(C)B.LEAGUE】

 さて、この2強を脅かすのは果たしてどのチームだろうか。何としても2強に食らいつき、1勝でも多く上乗せしていくことが中地区では重要になる。というのも、各地区3位以下で成績上位の2チームに与えられる「ワイルドカード」争いを思い出してほしい。昨シーズンは激戦となった東地区が2つの枠を埋めてしまったのだ。もちろん、上位2チームに入れば問題ないが、届かない場合は「1勝」の重みがより増すことになる。

 そこで面白い存在になりそうなのが、富山グラウジーズ。2年連続でB1・B2入替戦に出場したが、今シーズンは違う。かつてトヨタ自動車アルバルク(現・アルバルク東京)を率いてJBL優勝を成し遂げたドナルド・ベックHCを招聘(しょうへい)。宇都直輝、水戸健司、大塚裕土の三銃士に加え、レオ・ライオンズ、船生誠也主力級の選手を獲得した。インサイドにはジョシュア・スミス、山田大治らを配してパワーアップに成功している。

 レバンガ北海道が不参加だったとはいえ、アーリーカップ北信越ではその強さをアピール。同じ中地区の新潟アルビレックスBBを大差で下し、優勝した。得点力のある選手がそろい、ベックHCの老練な采配でチームは生まれ変わった。波に乗れば、その破壊力はリーグNo.1の力を秘めているかも知れない。

「台風の目」になる可能性を秘めるのは……

新潟は今季もガードナー(54番)と五十嵐(7番)のホットラインが開通か 【(C)B.LEAGUE】

 三遠ネオフェニックスは、滋賀レイクスターズから長谷川智伸、島根スサノオマジックから渡邊翔太を獲得するなど、堅実な補強が実を結びそうだ。インサイドを固めるのは、ロバート・ドジャーら外国籍選手や、日本代表センターの太田敦也。PGではそれぞれ持ち味の違う鈴木達也と川嶋勇人のコンビが活躍するが、加えて異色の選手がBリーグデビューを果たすのにも注目してほしい。延岡学園高、東海大学で日本一を経験し、卒業後は実業団の九州電力でプレーを続けていた寺園脩斗だ。同期の伊藤達哉(京都ハンナリーズ)の活躍に刺激を受け、プロの道へ。ことバスケに関してはハングリー精神を発揮し、存分に暴れまわるに違いない。若き指揮官、藤田弘輝HCの熱いベンチワークで、2シーズンぶりのCS進出を勝ち取ることができるだろうか。

 昨シーズンの得点王・ダバンテ・ガードナー、チームリーダーの五十嵐圭を中心にベテラン勢が脇を固める新潟は、悲願のCS初出場を目指す。昨シーズン、チームの平均得点(81.0)は全体の4位ながら、ガードナー1人で28.7得点を記録しており、エースへの負担が大きい。相手のマークを分散させるためにも、2番手、3番手の得点源が必要となるが、そこは新戦力の渡辺竜之佑(前琉球)と上江田勇樹(前千葉ジェッツ)に頑張ってもらいたい。

 また、五十嵐の相棒として、柏木真介が名古屋ダイヤモンドドルフィンズから加入したのは心強いだろう。五十嵐にとっては大学の後輩であり、かつて同じチームでプレーした経験もある。ここ一番での3ポイントシュートもあり、ゲーム終盤に大きな役割を任せることができる。チームとしては勝率5割をキープしながら、どこかのタイミングでアクセルを踏み込みたいところだ。

 過去2シーズンともHCが途中で交代し、勝率3割がやっとだった横浜ビー・コルセアーズにも、大きな希望が見えてきた。Bリーグ初代チャンピオンの栃木を率いた、名将トム・ウィスマンのHC就任が決まったからだ。Bリーグ以前のリンク栃木時代にもJBL初優勝にチームを導いているウィスマン。当時の主力メンバーが川村卓也であり、竹田謙である。彼らの脳裏にも、当時の厳しさと喜びがよみがえっているはずだ。ウィスマンHCの指導の下、田渡凌や中村太地、ハンター・コートら伸び盛りの選手たちが鍛えられていくに違いない。ディフェンスで見違えるようなチームになるだろうが、オフェンスも磨き上げて“魅せて”くれるだろう。帰化選手となったエドワード・モリスの活躍次第では、中地区の「台風の目」となる可能性は十分にある。

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著者プロフィール

B.LEAGUEを中心に、AKATSUKI FIVE(日本代表)やストリートボールまで、日本のバスケットボールの魅力を、わかりやすい記事とデザイン性の高い誌面でお届けする、新しいバスケットボール専門誌。Issueごとに独自の視点で特集を組み、興味深い企画で構成。

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