森保監督「それぞれが特徴を発揮した」 国際親善試合 コスタリカ戦後の会見

スポーツナビ

チーム全体でアグレッシブに戦えていた

「A代表のレベルの高さを知ることができた」と兼任監督ならではのコメントも 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

──ちょうど1カ月間、U−21とA代表、2つのチームを率いたことになるが、全体の選手のリアクション、反応はどうか?(大住良之/フリーランス)

 アジア大会を戦って、キリンチャレンジカップを戦って、8月11日に自宅を出て今日で1カ月になります。アジア大会は東京五輪世代のU−21の若い選手と戦ってきましたが、7試合マックスでできて、1試合ごとに選手たちが成長する姿、たくましくなっていく姿を感じさせてもらいながら戦うことができました。残念ながら優勝はできませんでしたが、選手たちが今持っている最大限の力を決勝の韓国戦で出してくれたと思います。これから先につながる、まだまだ伸びしろがある選手とともに戦えたと思っています。

 東京五輪世代の選手たちは、どの選手に聞いても金メダルを取りたいと言っています。そのためには、真夏の暑い中で6試合を戦わないといけない。その意味で、アジア大会のタフな日程の中で7試合を戦えたことは、チームにとっても選手とってもスタッフにとっても、いい経験だったと思います。最後の韓国戦で戦った、あの試合の強度を東京五輪ではスタートから6試合やり続けなければならないということ。相当な覚悟をもってやらなければならない。もっともっとレベルアップしないといけない。素晴らしい経験ができたと思います。

 A代表に来て感じたのは、選手のクオリティーがやはり高いということ。それぞれのクラブでポジションをつかんでキャリアを積んでいる選手のレベルの高さは感じました。A代表の監督をすることで、そのレベルの基準、どういう高みを目指してやっていくかというはっきりとした私自身の基準を持って、東京五輪世代の選手たちに提示できる素晴らしい経験をさせてもらいました。あとはA代表の選手たちは、技術と戦術理解力を持っているのはもちろんですが、今日の彼らが見せてくれた戦う気持ちを持って、自分の責任をまっとうする気持ちを持って、粘り強く試合を戦い抜くということ。メンタル面でも技術面でも、すべてを上げていかないといけないということを若い選手に伝えられる、いい経験になりました。A代表のレベルの高さを知ることができたという意味でも、素晴らしい経験ができました。

──今日の初陣は、どのような気持ちで臨んだのか?

 A代表の監督として、特別に思った部分もありますし、特別に思っていない自分もいました。それは日本代表として試合に臨める素晴らしい環境をサポーターの皆さんに作っていただき、そして応援してくださる方々にもこういう環境を作っていただき、多くのメディアの皆さんにも注目していただき、そこからサッカーを発信してくださるということ。これも、なかなかこれまで経験できなかったことで、特別な舞台に立たせていただいている、素晴らしい経験を自分はさせていただいていると感じています。

 逆に特別に思っていないところは、私自身の気持ちは全然変わらないということ。これまでサンフレッチェ広島というクラブチームで監督をさせていただいて、一戦一戦を大事に戦っていこうということ、一戦一戦勝利を目指して最善の準備をし、試合でベストを尽くすということにおいて、今回のチリ戦がなくなり、(初陣が)コスタリカ戦になっても変わるところはなかったので、そこはこれまでの自分と変わらない、特別なものは感じなかったです。

──今日の試合の課題をあえて挙げるなら?

 課題は、もっと点を取れるくらいチャンスを作っていたので、さらに決定力を上げていくということ。さらに、チームとしてチャンスを作っていくことをやっていかないといけないと思います。守備の部分でも、選手たちに今日要求していたこと、そして選手たちがやらないといけないと思って臨んでくれたこと。戦う部分ということを言いましたけれど、粘り強く戦うという部分。無失点で抑えてくれたのは非常によくやってくれたと思いますが、相手のチャンスがゼロだったわけではないので、よりわれわれにとってのピンチを減らすこと。すべてを上げていかないといけないと思います。

──攻撃面では、中島翔哉や南野拓実がドリブルでもパスでも意欲的なプレーを見せていた。彼らのような新しい力が今後の代表に何をもたらしてくれると考えるか?

 先ほども言いましたが、選手たちにはさらに多くの経験を積み上げてもらって、個として少しでも大きく成長してほしいと思います。2人の選手の名前が出ましたが、彼らだけでなく、チーム全体としてアグレッシブに戦えていたと思います。攻撃の選手が力を出していたということは、守備の選手が頑張って攻撃の選手につなげていたということです。今日、選手たちにも話しましたが、自分の良さを最大限に発揮してほしいということ。それと同時に、自分の良さを生かすために、周りを生かしていくということ。周りと支え合って、つながりあってプレーすることで自分の良さを出していく。そのことを選手に話して、実践してくれたのは、監督として幸いなことだと思います。

コスタリカ代表 ロナルド・ゴンサレス監督のコメント

 今日は私たちにとって非常に難しい試合となった。日本はダイナミックでスピードあるプレーを見せた。残念ながら前半はオウンゴールで失点をしてしまった。また3点目の失点は1人少ない状況だった。いずれにせよ、敗戦という結果に終わったが、日本は勝利にふさわしいプレーをしたと思う。そして新しいステージを、いい形でスタートを切ることができたと思う。

──後半は選手を変えたこともあったが、前半以上に難しい戦いになってしまったのはなぜか?(田村修一/フリーランス)

 後半に選手交代をしたのは、日本とは事情が違ってわれわれは韓国と3日前に戦っている。日本はチリ戦がなかったので、よりフレッシュな状態でフィジカルコンディションもわれわれに比べて良かったと思う。後半は身体を休めることができた選手を使おうと思ったが、残念ながら試合のリズムが前半とは違うものとなってしまった。

──韓国戦では4バックだったが、5バックに戻すかどうかについては日本の分析をしてから決めると言っていた。あらためて5バックを選択したのは、どのような理由だったのか?(舩木渉/フットボール批評)

 今日5バックにしたのは、今回招集した守備の選手の特徴を踏まえてのことだった。そのうち2名は、韓国戦に出場しなかったので、よりフレッシュな状態だった。4−4−2での日本に、サイドから攻撃を仕掛けようというプランで、それはうまくいったと思う。

 後半に入って、同点に持ち込もうと少しシステムを変えたが、2失点目をしてしまった。ただ、われわれとしては、5バックも4バックも使っていきたいと思う。どちらがよりフィットするか、今は試しているところだ。W杯カタール大会の北中米予選では、われわれの相手は日本でも韓国でもない。4バックと5バックという2つの選択肢を柔軟に使い分けることで、北中米のライバル諸国を驚かせることができるのではないかと思う。

 最後に一言。たくさんの観客がスタジアムに来くれたことに感謝したい。また(日本のファンは)私たちにも拍手をしてくれたし、温かく出迎えてくれた。(こうした態度は)コスタリカ国民の見本にもなる。コスタリカサッカー連盟と選手を代表して、皆さんに感謝申し上げたい。

※質問者に関しては、掲載許諾の確認が取れた方のみ明記しています。記名のない方は確認が取れていない方ですので、拒否されている訳ではありません。

2/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント