“ふたつのリーグ”からみるF1後半戦 ベッテルにも逆転Vの可能性あり

F1速報

トロロッソ含んだ混戦の“Bリーグ”

“Bリーグ”では安定した走りを見せるヒュルケンベルグが前半戦をトップで折り返し 【XPB Images】

 今年のF1はメルセデス、フェラーリ、レッドブルのトップ3チームが「チャンピオンズ・リーグ」と呼ばれ、それ以外……つまりミドル以下の7チームは「Bリーグ」と表現されるようになった。

 視点をその“Bリーグ”に変えてみよう。現在ランク4位ルノー82点、5位ハース66点(すぐ上の順位との差−16点)、6位フォース・インディア59点(同−7点)、7位マクラーレン52点(同−7点)、8位トロロッソ28点(同−24点)、9位ザウバー18点(同−10点)、10位ウイリアムズ4点(同−14点)。

 上位チームは“ダブル入賞”すればひっくりかえせる。コンスタントな下位入賞によっても逆転は可能、近年まれな中団チームの接戦模様だ。では“Bリーグ”のドライバー順位はどうか(14人を対象にした順位)。

1位:ニコ・ヒュルケンベルグ 52点
2位:ケビン・マグヌッセン 45点
3位:フェルナンド・アロンソ 44点
4位:セルジオ・ペレス 30点
5位:カルロス・サインツ 30点
6位:エステバン・オコン 29点
7位:ピエール・ガスリー 26点
8位:ロマン・グロージャン 21点
9位:シャルル・ルクレール 13点
10位:ストフェル・バンドーン 8点
11位:マーカス・エリクソン 5点
12位:ランス・ストロール 4点
13位:ブレンドン・ハートレー 2点
14位:セルゲイ・シロトキン 0点

 この“首位争い”は未曽有の大混戦だと分かる(リバティメディアさん、こちらにも“プチ・タイトル?”を授与したらどうでしょう)。

“Bリーグ”覇者への条件

ハンガリーGPで6位に入賞したガスリー 【Toro Rosso】

1:ふたりそろった速さとチームプレーに徹するドライバー力
2:アップデートが限られる後半の現場セッティング最適化能力
3:直近ライバルに絞ったレース戦略対応
4:パワーユニットのペナルティを見越したうえでの“重点GP”集中策
5:コンディションが変動する転戦でのタイヤ管理能力。すべてがいままで以上にシビアに求められる

 順にチェックすると、ファクター1のドライバー平均力に強みがあるのはルノー勢、ハース勢、フォース・インディア勢の3チーム。他は残念ながらコンビ平均力がやや見劣りする。

 ファクター2に関しては、アロンソ主導のマクラーレンが総合的なエンジニア力を有し、チーム規模からしてもリソース面で有利、後半にもアップデート投入してくるだろう。
 ファクター3にはチームのキャラクター(DNA)が出る。フォース・インディアはマシン戦力を補う確かな戦略を貫き、コミュニケーションにも一体感がある。ザウバーも前半戦半ばから、新人ルクレールがクレバーなレースを見せチーム戦意が上昇中。

 ファクター4、終盤にきてパワーユニットのローテーションで注目はトロロッソ・ホンダ。既に使用済みのコンポーネンツ基数が最も多く、新バージョン投入とペナルティ対応を鑑み重点レースを定めて上位を狙う。

 ファクター5のタイヤ管理ではフォース・インディア、ハース、マクラーレンにいる日本人エンジニアたちが手腕を発揮。具体的にはGPごとの綿密なドライ3スペック配分や、フリー走行からすべてチェック走行するきめ細かさ。タイヤ設計(作る側)に携わってきた彼らならではの経験と知見にほかならない。現在4位ルノーは前半このタイヤマネージメントに苦しんできただけに、このファクター5が“Bリーグ”の行方を左右するか。
 最後に後半9戦の“キーイベント”を。春から再び秋9月30日決勝に変わった第16戦ロシアGPを挙げる。マレーシアGPが消えて今年は日本GPの直前スケジュールだ。15年10月に開催されたときは低温15度前後。後半戦ではもっとも寒い低温コンディションが予想され、秋のソチは降雨日も増える。

 ちなみにメルセデスにすればもっとも苦戦し、3連敗を喫していたセパンでのマレーシアGPがなくなり、4連勝中ソチが終盤にあるのは望ましいこと。そのロシアから連戦の日本GPへ。この“露・日移動”は後半スケジュールでもっとも長距離で環境も変化、チームもドライバーも最高の真価が問われる――。

(テキスト:Jun Imamiya)

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