セ・パ新人王レースを読む DeNA東・オリ山本がリード、対抗馬は?

ベースボール・タイムズ

パはオリックス・山本が最右翼

高卒2年目ながら、山本(右)はすでにブルペンに欠かせない存在となった 【写真は共同】

 一方のパ・リーグは、期待された投手陣が勝ち星を伸ばし切れずにいる。本命視されていた田嶋大樹(オリックス)は、3月31日のプロ初登板初勝利から5月までに5勝を挙げたが、6月に大きく調子を崩すと、左肘の張りで6月27日に登録抹消となり、ここまで12試合登板で6勝3敗、防御率4.06の成績。8月中の復帰を目指しているが、当初よりも離脱が長引いている点が気がかり。一時は“確実”と言われた2ケタ勝利も危うくなってきた。

 その他、今井達也(埼玉西武)や堀瑞輝(北海道日本ハム)、大竹耕太郎(福岡ソフトバンク)らプロ初勝利を挙げたフレッシュな面々も新人王資格を持っているが、成績的に及ばない。

 その中で、セ・リーグ同様にリリーフ陣が奮闘している。13年のドラフト1位入団の加冶屋蓮(福岡ソフトバンク)は昨季まで1軍登板4試合のみだったが、今季は開幕から中継ぎで力強いピッチングを続けて球宴にも初出場。ここまで48試合登板で2勝1敗19ホールド、防御率3.15と存在感を見せている。

 そして、それ以上のインパクトを残しているのが、高卒2年目の山本由伸(オリックス)である。150キロを超える直球とカットボールを武器にセットアッパーとして快投を続け、8月10日には10代投手では史上初の30ホールドポイントをマーク。ここまで42試合に登板して4勝1敗26ホールド1セーブ、防御率2.40の好成績を残している。疲労の蓄積が心配だが、このまま好投を続けられれば新人王の勲章が大きく近づく。

猛追する鷲の新リードオフマン

 だが、強力なライバルが野手陣にいる。新たに不動のリードオフマンに成長した田中和基(東北楽天)だ。立教大からドラフト3位でプロ入りして今年が2年目。昨季51試合に出場するも59打席で新人王資格(60打席以内)を保持したまま今季を迎えると、5月下旬から定位置を掴み、左右両打席からのコンパクトなスイングでヒットを重ねながら、非凡なパンチ力で2ケタ本塁打も達成。自慢のスピードを攻守両面で活かし、ここまで63試合に出場して打率2割7分6厘(257打数71安打)、13本塁打、33打点、16盗塁。部門別に見ると決して傑出した数字ではないが、総合点で高評価。先発陣が振るわず、中継ぎ陣が調子を崩すようだと、一気に本命に躍り出る。

 2000年以降、セ・リーグでは00年・金城龍彦(横浜)&01年・赤星憲広(阪神)、05年・青木宣親(ヤクルト)&06年・梵英心(広島)、10年・松本哲也(巨人)&11年・長野久義(巨人)、16年・高山俊(阪神)&17年・京田陽太(中日)と野手陣が2年連続で新人王を受賞するパターンが続いた。そしてパ・リーグでは昨季、源田壮亮(埼玉西武)が19年ぶりの野手選出となった。

 記者投票となるために、成績だけでなく「印象度」も重要になる新人王のタイトル。歴史的猛暑の夏を乗り越えて“人生に1度”の勲章を手にするのは誰か。成績を伸ばすチャンスは、まだ残り2カ月ある。

2/2ページ

著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント