変わりゆくバルサのフットボールスタイル 疑問を投げかけるカンテラーノの台頭
ラ・マシアのプレーモデルも変化
夏に加入したビダルはフィジカルに長けたタイプの選手 【写真:ロイター/アフロ】
そのセイルーロは数年前にバルセロナBが3部降格の危機に陥った際、クラブが下した決断を強く批判したことがある。
「クラブはBチームを2部に残すためにエウセビオ・サクリスタンを解任したが、何の効果もなかった」
彼の言葉通り、この年バルセロナBは史上初めてシーズン中の監督交代に踏み切ったかいもなく、3部に降格している。しかも当時のチームが多くのタレントを輩出することはなかった。
パリ・サンジェルマンにネイマールを奪われたこともあるが、近年のバルセロナは選手の出入りが活発になっている。今夏もエルネスト・バルベルデ監督の要望によって続々と新戦力が加入しているものの、プイグの台頭は迷えるクラブに原点回帰を促すメッセージのように思えてならない。
バルセロナは今後どこへ向かっていくのか
ICCでプレーしたカンテラーノたちに今季はどれだけ出番があるのだろうか 【写真:ロイター/アフロ、USA TODAY Sports/アフロ】
一方で、理解に苦しむ動きがあったことも確かだ。リュカ・ディーニュやアレイクス・ビダルの放出は自然な流れとして、ワールドカップ・ロシア大会で3試合に出場して3ゴールを挙げる大活躍を果たしたジェリー・ミナまで手放す必要はあっただろうか。さらに第2GKとして限られた出場機会に好パフォーマンスを発揮したヤスパー・シレッセンも、チームに残るかどうかはっきりしていない。
はたしてバルセロナは今後どこへ向かっていくのか。それはビッグタイトルの獲得以上に重要なテーマである。31歳となったメッシはまだ何シーズンも戦うことができるだろうが、いつまでも彼のタレントに頼り続けることはできない。アルゼンチン代表はそのことをよく知っている。
(翻訳:工藤拓)