鹿島・昌子源インタビュー<前編> 「弱気な部分を見せたらあかん」

原田大輔

「Jリーグでやってきた感覚をそのまま出した」

セネガルのFWニアンとは激しいマッチアップを繰り広げた 【Getty Images】

――確かにセネガル戦では、昌子選手の縦パスを入れる回数や頻度など、第1戦以上に積極的な姿勢を感じました。

 試合が始まってすぐ、自分がニアン選手に狙われていることが分かりました。だから、これは弱気な部分を見せたらあかんなと思ったんですよね。バックパスはもちろん、麻也くんへのリターンパス、(長友)佑都くんへの横パスと、近いところばかりにパスしていたら(相手に)弱気だと思われてしまう。それこそ(CBの)自分から、(SBの)佑都くんにパスをすれば、相手は連続で追うことができますからね。だから、ひとつふたつ(ポジションを)飛ばすことを意識して、僕は左利きではないですけれど、左足でも強気にガンガン(パスを)入れてやろうとしたことが良かったのかもしれません。

――そのニアン選手のマークをして体感したことは?

 正直、ニアン選手に対しては、最初の10分、15分は「どうやって止めたらいいんやろう」と思っていました。近づきすぎたらスピードでぶっちぎられるし、遠かったら好きなところにボールを出されてしまう。やっぱり、相手は足もリーチも長くて、懐が深い。こっちが足を伸ばしても届かないし、最初は自分のサイドからやられそうになるシーンが多かった。でも、20分を過ぎてからは、自分の中で感覚がつかめてきたというか、慣れてきて、より強気なプレーができるようになったかなと。

――2失点しましたが、結果的にニアン選手には得点を許しませんでした。試合中に対応できたというのは自信になったのでは?

 そこはJリーグで積み重ねてきたところが大きいと思います。Jリーグの試合でも、初めて対戦する外国籍選手はうまいと思いますし、自分の間合いが確認できるまでは、まずゴールを奪われないことを意識したプレーをしている。そうしたJリーグでやってきた感覚を、W杯のピッチでもそのまま出したら、ある程度やれた部分があったんですよね。それが大きかった。これがもし、全く歯が立たなかったとしたら、心が折れていたかもしれませんが、Jリーグでやってきたことが通用した部分と通用しなかった部分がはっきりしたので、それはひとつ自信になりました。

昌子の「強気」が生んだ同点ゴール

守備と同様に際立ったのが、強気な縦パスの意識だった 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――セネガル戦の同点ゴールにつながったプレーしかり、コロンビア戦のPKを獲得する契機となったプレーしかり、振り返ると昌子選手は得点に絡んでいるんですよね。

(セネガル戦の)2点目は、サコくん(大迫勇也)が前からアプローチしたことで、GKがキックミスをしました。(ボールの落下地点に近いところに)ハセさん(長谷部誠)がいたから、最初は「ハセ!」って声をかけたんです。でも、動かないから、これは自分が出て行くしかないなと思って出て行きました。それでボールを左足でトラップして、2タッチ目でパッと周囲を見たときは、縦も横もいろいろな選択肢があった。でも、そのとき、前にオカちゃん(岡崎慎司)が見えたから、とにかくあそこに入れてやろうと。質が悪くても、とにかくスピードだと考えて、ボールを蹴ったんです。

 そうしたら質の悪い僕のパスをオカちゃんはピタッと収めてくれて。それがサコくんにつながって、その流れから(本田)圭佑くんが決めてくれた。もちろん前線の選手たちのクオリティーもありますけれど、自分の強気なプレーも少しは得点に貢献できたかなと。あそこで弱気になって、消極的なプレーを選択をしていたら、同点ゴールは生まれていなかったかもしれない。まあ、日本で流れたハイライト映像には、ほとんど僕のプレーは映ってないんですけれどね(笑)。できれば、もう少し前から放送してほしかったなと(笑)。

――セネガル戦は2−2でしたが、その結果をどう捉えていましたか?

 個人的には勝ちたかった。チームとしても同じだったと思います。ただ、試合後、大先輩たちから「ナイスゲーム」「よく追いついたよ」というポジティブな声を聞いて、「これで良かったんやな」と思えましたね。

 もちろん、勝ちたかったのはみんな一緒だけれど、ハセさん、佑都くん、圭佑くん、麻也くん、(川島)永嗣さんら経験ある選手がみんな「次があるから、また準備しよう」って言ってくれたことで、最低限の仕事はできたんだと思うことができた。僕もJリーグでは中堅と言われるようになりましたが、W杯に関しては初めて。そうした中で経験のある選手たちのポジティブな声というのは、本当に救いというか、頼りになりました。

――第3戦のポーランド戦は出場機会がありませんでしたが、どういう思いで決勝トーナメント進出を見届けましたか?

 初めてW杯のピッチを俯瞰(ふかん)して見ることができて、それはそれで勉強になりました。特に槙野くんのプレーを見て、(ロベルト・)レバンドフスキ選手との駆け引きや、インターセプト、足の出し方は参考になりました。あの試合は6人先発が代わりましたが、あらためて日本にはすごい選手がたくさんいることを証明できたのではないかと思います。

 ポーランド戦の終わり方に対しては、いろいろと言われましたし、(次の)ベルギー戦で結果を残せなかったら、日本中の人に日本代表はやっぱりダメじゃないかと思われるだろうとも考えました。ただ、ここ(ベルギー戦)で勝利できれば、ポーランド戦もこのためにあったと思ってもらえるだろうし、だからこそやってやろうという決意で次の試合に入りましたね。

<後編は7月31日掲載予定>

【試合情報】鹿島アントラーズ

J1第19節 8月1日(水)19時キックオフ
鹿島vs FC東京
「ファミリー Join デイ」を開催!


(1)ホームタウン特別特産品セットを選手が配布
野菜や加工品など、ホームタウンの特産品が2品ずつ入った『ホームタウン特別特産品セット』を無料配布いたします!ホームタウン2市の特産品をランダムに入れたセットを計2回配布し、2回目配布の際は、当日試合メンバー外となった選手が直接来場者へお渡しします!
(2)ご来場記念「チキンラーメン」先着プレゼント
今年8月25日に発明60周年を迎える、世界で初めて発明されたインスタントラーメン「チキンラーメン」を、60周年にちなんで先着10,060名様へ入場時にプレゼントいたします!

常陽銀行2018年度オリジナルうちわ 【(C)KASHIMA ANTLERS】

J1第20節 8月5日(日)18時30分キックオフ
鹿島vs 清水
「常陽銀行Powerful Match 2018」を開催!


(1)常陽銀行イメージキャラクター 遠藤選手・土居選手特製オリジナル応援グッズ配布
常陽銀行2018年度イメージキャラクターの遠藤康選手、土居聖真選手を使用したオリジナルうちわ(画像)を、先着20,000名のご来場者様へプレゼントいたします!
(2)「常陽銀行×アントラーズ」 歴代ポスター展
  常陽銀行へ過去掲出された、鹿島アントラーズや元所属選手を掲載した歴代ポスターの中から、厳選した作品を当日のスタジアムコンコース上で展示いたします!
(3)「常陽銀行 Presents Antlers Photo Project」実施
  常陽銀行冠試合の特別デザインフレームで写真撮影が出来る撮影ブースを設置し、先着500名様にプリントした写真をフォトフォルダに入れてお渡するほか、豪華抽選賞品をご用意いたします!
AFCチャンピオンズリーグ2018準々決勝第1戦
8月28日(水)19時キックオフ
鹿島vs天津権健


(1)ホームタウン感謝祭
ホームタウン5市(鹿嶋・神栖・潮来・鉾田・行方市)に在住・在勤・在学の方を対象に、サポーターズシート(ゾーン指定席)へ先着2,000名様を無料招待いたします!

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著者プロフィール

1977年、東京都生まれ。『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めた後、2008年に独立。編集プロダクション「SCエディトリアル」を立ち上げ、書籍・雑誌の編集・執筆を行っている。ぴあ刊行の『FOOTBALL PEOPLE』シリーズやTAC出版刊行の『ワールドカップ観戦ガイド完全版』などを監修。Jリーグの取材も精力的に行っており、各クラブのオフィシャルメディアをはじめ、さまざまな媒体に記事を寄稿している。

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