セリーナが愛娘から学ぶベイビーステップ 「母親とアスリートの共存」をも推進力に

内田暁

史上最高の女王が、愛娘から学ぶこと

試合後、勝者のケルバー(右)と言葉を交わすセリーナ。今の歩みは“ベイビーステップ”でも、これから大きな一歩を踏み出そうとしている 【写真:ロイター/アフロ】

「子供とあなたのどちらが、この10カ月間でフットワークが良くなった?」――そんな質問には「子供かしら? 彼女は歩けるようになったし」と柔らかい母親の顔を見せ、そんな愛娘と自身を重ねるように「でも彼女は自分の能力以上に速く歩こうとし過ぎて、よく転んでいるの。子供から学ぶことはたくさんあるわ」と続けた。

「まだまだ“ベイビーステップ”で前進している段階だけれど、でも“ジャイアントステップ”を踏み出したいとも常に願っている」

 自らの復帰の道のりを、彼女はそう形容する。

 自分の中に共存する“母親”と“アスリート”のせめぎ合いをも推進力とし、テニス史上最高の女王は、再び頂点を目指して進む。

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著者プロフィール

テニス雑誌『スマッシュ』などのメディアに執筆するフリーライター。2006年頃からグランドスラム等の主要大会の取材を始め、08年デルレイビーチ国際選手権での錦織圭ツアー初優勝にも立ち合う。近著に、錦織圭の幼少期からの足跡を綴ったノンフィクション『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)や、アスリートの肉体及び精神の動きを神経科学(脳科学)の知見から解説する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。京都在住。

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