ジョコに敗れた錦織が打ち明けた心の内 必ず見つける、攻略のための“何か”

内田暁

再び敗れて、誓った強い決意

「勝つための“何か”を見つけなくては」。錦織は静かに、強い決意を語った 【写真:アフロ】

 だが、ジョコビッチに関して残した錦織の言葉には、時には意図的にでも感情をあらわにし、闘争心を掻き立てることの必要性にも考えが及んだ様子を示唆している。自分と同じく昨年後半をケガで休養にあて、復帰後は多くの初戦敗退も経験したジョコビッチの完全復活を示すかのような姿に、錦織は何かしらのヒントを得たのかもしれない。

「彼はやっぱり最後まで崩せなかったので……そうですね。“何か”はこれから、見つけなくてはいけないです」
 自分に言い聞かせるように、彼は静かな口調に強い決意の響きを込めた。

 幾度も挑んでは跳ね返されてきた壁を、結果的には、今回も打ち破ることはできなかった。
 だが、その手がかりに触れられたことは、コート上での彼のプレーに、そして試合後の言葉からうかがうことはできる。

 探し求める「何か」とは、何か……? その答えは、最も得意とする北米のハードコートで示してくれるはずだ。

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著者プロフィール

テニス雑誌『スマッシュ』などのメディアに執筆するフリーライター。2006年頃からグランドスラム等の主要大会の取材を始め、08年デルレイビーチ国際選手権での錦織圭ツアー初優勝にも立ち合う。近著に、錦織圭の幼少期からの足跡を綴ったノンフィクション『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)や、アスリートの肉体及び精神の動きを神経科学(脳科学)の知見から解説する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。京都在住。

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