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3度目の正直でベスト8を狙う日本代表
逆算のキャスティングで手にした「余力」

日本代表、3度目の決勝ラウンドへ

現地時間30日の午前練習では選手たちに笑顔も見られた
現地時間30日の午前練習では選手たちに笑顔も見られた【写真は共同】

 日本代表はこれまでに2度、ベスト16に進出したことがある。


 1度目は自国開催だった2002年日韓大会で、ワールドカップ(W杯)2度目のチャレンジにして決勝トーナメント進出を果たした。もっとも、グループステージ突破を決めたあと、監督のフィリップ・トルシエが「ここからはボーナスステージだ」と語ったように、開催国としての最低限のノルマを達成したことに、どこか満足しているところがあった。


 2度目は8年後の10年、南アフリカ大会である。岡田武史監督のもと、2勝1敗でグループステージを勝ち抜き、パラグアイとのラウンド16でPK戦の末に敗れた。このとき、PK戦を制したとしても、ベスト8でどれだけの戦いを見せられただろうか。4試合連続同じスタメンで戦った日本は、精根尽き果てた状態だったのだ。


 3度目となる今回は、過去2回とは明らかに異なることがある。


 余力を持って勝ち進んできた、という点だ。


 10年の南アフリカ大会を経験しているキャプテンの長谷部誠が言う。


「西野さんが『これまでの2回はいっぱいいっぱいの状態でベスト16に向かったという印象が外から見ていてあった』と。たしかに自分は1回経験していますけれど、そこに到達するためにすごく多くのものを費やしたという感覚がある。でも、今回のベスト8へのチャレンジは、これまでとは違う経験を積み、さまざまな部分で違うチャレンジができるんじゃないかと。第3戦で休めた選手もいるし、心身ともにフレッシュな状態で次の試合に臨めると感じています」

チームが手に入れた2つの「余力」

リラックスした様子の長友(左)、岡崎(中央)、長谷部(右)
リラックスした様子の長友(左)、岡崎(中央)、長谷部(右)【写真は共同】

 長谷部が言うように、余力のひとつが、コンディションである。


 日本はコロンビアとの初戦、セネガルとの2戦目に同じスタメンを送り出したが、ポーランドとの第3戦はスタメン6人を入れ替えて戦った。これにより、香川真司、原口元気、昌子源は完全に身体を休ませることができ、約40分出場した大迫勇也はまだしも、途中出場した長谷部、乾貴士の疲労も軽減されたことだろう。


 むろん、メンバーを入れ替えたのは、ポーランド戦で負けを覚悟していたからではない。結果的に負けたが、「勝ち上がることを前提として考えた」と西野監督が語ったように、勝つためのメンバーを選んだ。


 そうした決断を下すことができたのも、ガーナ、スイス、パラグアイとの親善試合でメンバー、システムを可能な限り試しておいていたからだろう。選択肢の幅を広げていたからこそ、グループステージ突破が懸かった大一番に自信を持って新たな6選手を送り出すことができた――。


 2戦目のセネガル戦の2日前、本田圭佑がこんなことを言っていた。


「2戦目で決められなかった場合、3戦目の消耗具合、そして、もし突破できたとしてもベスト16、8を懸けた戦いをものすごく消耗した状態で挑んだ経験があるので、理想論はやっぱり2戦目で決めること。それがいろいろな意味で上を目指す戦略を立てられる状態なのかなと思います」


 結果として2戦目で決めることはできず、3戦目にもつれ込み、初黒星を喫した。だが、思惑どおり余力を残して決勝トーナメント進出を決めることができたのだ。


 余力のもうひとつは、経験である。


「精神的なところも明らかに違う。10年(の南アフリカ大会)を経験した選手がまだ何人もいるということがビッグアドバンテージということは間違いないと思います」


 そう語るのは、本田である。一発勝負となる決勝トーナメントで勝敗を分けるポイントは一体何なのか。あのパラグアイとの死闘のピッチに立った本田、長谷部、長友佑都、川島永嗣、岡崎慎司の経験は、チームにとって心強いものだろう。

飯尾篤史
飯尾篤史

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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