大阪桐蔭・根尾昂、想像を超える夏へ
投打で魅せる背番号6の挑戦

3季連続決勝の先発で「よっしゃー」

投打で圧倒的な才能を発揮する大阪桐蔭・根尾。今夏で最も注目される選手なのは間違いない
投打で圧倒的な才能を発揮する大阪桐蔭・根尾。今夏で最も注目される選手なのは間違いない【写真は共同】

【常勝軍団・大阪桐蔭の挑戦2018:第1回】


 連覇を決めたマウンドでも、いつも通りだった。今春のセンバツも、そして春の近畿大会も。派手なリアクションを起こすこともなく、にっこり微笑んで整列に加わった背番号6は、試合、閉会式を終えた後も、穏やかな表情で丁寧に自身の言葉を並べた。


「今日は多少(球に)バラつきがありましたけれど、何とか粘って(1失点に)抑えられました。智弁和歌山はどんどん振ってくるし最後まで攻められて投げにくかったです」。


 根尾昂にとってセンバツの決勝戦に続く、智弁和歌山戦の先発マウンド。大阪大会決勝の関大北陽戦に続いて3大会連続の決勝戦の先発だ。先発を告げられた時は「よっしゃー」と心の中で叫び、気合十分でマウンドに上がった。センバツでの5試合、大阪大会の7試合、そして近畿大会の4試合、この春計16試合。投げない試合はショートとしてもフル出場している。ただ、近畿大会が行われた時期は夏に向けてこの時期恒例の強化練習中で、疲労が時折出るマウンドだった。しかも今年は例年より期間が1週間長い。


「最初に聞いた時は、“ウッ”って思いましたね(苦笑)。長くて5週間と聞いていたのに、今年は6週間になるみたいです。でも雨などで練習(の度合い)が空くのは嫌です。体を休める時間も必要だとは思いますが、今は連日どんどん追い込んでいきたいんです」

昨年の先輩以上の努力が必要

 昨年、初めてフルメニューをこなした強化練習は「ついて行くのがやっとでした。昨年は……汗をかきすぎてフラフラになったのを覚えています」と苦笑いする。昨年は夏の大会に出場するのも初めてで、戸惑うことが多かったという。「打つ方も結果を残せなかったし、投げる方も安定しなかったし…。特に投げる方は信用してもらえないところが多くて、大阪大会も甲子園も徳山(=壮磨/早稲田大)さんや柿木(蓮)に任せっきりでした。(昨夏の甲子園の)仙台育英戦も、自分は肩を作っていたんですけれど、最後まで柿木が投げて……。もし、あの時自分の調子が良くて交代できていたら、とも思いますね」。


 だが、昨秋は近畿大会準決勝の近江戦で16個の三振を奪って完封。今春のセンバツでも準決勝の三重戦でロングリリーフして8回9奪三振無失点。決勝の智弁和歌山戦では強力打線を6安打2失点に封じ込み2年連続のセンバツ優勝投手に輝くなど大事なマウンドを任される機会が増えている。


「昨年の先輩もすごく努力はされていましたけれど、自分たちは昨年の先輩以上のことをこなさないといけないと思っています。ピッチングに関しては投げる体力をつけること。センバツでは連投しましたけれど、自分ではそう思っていなくても明らかにバテていましたし、1球1球の精度も良くはなかった。ブルペンで投げ込みはしますが、対バッターの中でどれだけ力のあるボールを投げられるかだと思います。バッターとしては、センバツではどのボールへの対応力は悪くなかったかなと。でも、ファーストストライクからしっかり対応できなかったので、早いカウントからどんどん打てるようになりたいです」

寮では素振り、部屋ではストレッチ

 常に何かをしていないと気が済まない。練習から寮に戻っても素振り、部屋でもストレッチ。ストレッチの器具が部屋に所狭しと並んでいて「あまり部屋の中はキレイじゃないんですよ」と本人は笑う。読書が好きで、野球に関する本はだいたい目にした。最近はエースの柿木と本の貸し借りをし、気になるタイトルを見つければ読みふけている。


 最後の遠征となった香川県の招待試合では英明との戦いで16安打されながら4失点。安打されてもあと1本を許さない粘りの投球を見せ、打っては8回1死二塁で1点ビハインドの場面で同点打を放ち、盗塁も決めた。


 投と打で魅せる背番号6は、結果を残してもストイックさを失わない。この夏、もしかしたら私たちの想像をはるかに超える選手になるのではないか――。そんな空気が漂う選手こそが、根尾昂なのだ。

【連載】「常勝軍団・大阪桐蔭の挑戦2018」

 史上8度目の春夏連覇を目指す、夏の高校野球100回大会の一番の注目校である大阪桐蔭。常勝軍団と言われる大阪桐蔭のメンバーが、日々どんな気持ちで野球に取り組んでいるのか――個々の選手の素顔に迫る連載を6月29日から開始。6月30日掲載の2回目は、常勝軍団の主将としてチームをまとめる中川卓也選手です。

沢井史

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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