大阪桐蔭・根尾昂、想像を超える夏へ 投打で魅せる背番号6の挑戦
3季連続決勝の先発で「よっしゃー」
投打で圧倒的な才能を発揮する大阪桐蔭・根尾。今夏で最も注目される選手なのは間違いない 【写真は共同】
連覇を決めたマウンドでも、いつも通りだった。今春のセンバツも、そして春の近畿大会も。派手なリアクションを起こすこともなく、にっこり微笑んで整列に加わった背番号6は、試合、閉会式を終えた後も、穏やかな表情で丁寧に自身の言葉を並べた。
「今日は多少(球に)バラつきがありましたけれど、何とか粘って(1失点に)抑えられました。智弁和歌山はどんどん振ってくるし最後まで攻められて投げにくかったです」。
根尾昂にとってセンバツの決勝戦に続く、智弁和歌山戦の先発マウンド。大阪大会決勝の関大北陽戦に続いて3大会連続の決勝戦の先発だ。先発を告げられた時は「よっしゃー」と心の中で叫び、気合十分でマウンドに上がった。センバツでの5試合、大阪大会の7試合、そして近畿大会の4試合、この春計16試合。投げない試合はショートとしてもフル出場している。ただ、近畿大会が行われた時期は夏に向けてこの時期恒例の強化練習中で、疲労が時折出るマウンドだった。しかも今年は例年より期間が1週間長い。
「最初に聞いた時は、“ウッ”って思いましたね(苦笑)。長くて5週間と聞いていたのに、今年は6週間になるみたいです。でも雨などで練習(の度合い)が空くのは嫌です。体を休める時間も必要だとは思いますが、今は連日どんどん追い込んでいきたいんです」
昨年の先輩以上の努力が必要
だが、昨秋は近畿大会準決勝の近江戦で16個の三振を奪って完封。今春のセンバツでも準決勝の三重戦でロングリリーフして8回9奪三振無失点。決勝の智弁和歌山戦では強力打線を6安打2失点に封じ込み2年連続のセンバツ優勝投手に輝くなど大事なマウンドを任される機会が増えている。
「昨年の先輩もすごく努力はされていましたけれど、自分たちは昨年の先輩以上のことをこなさないといけないと思っています。ピッチングに関しては投げる体力をつけること。センバツでは連投しましたけれど、自分ではそう思っていなくても明らかにバテていましたし、1球1球の精度も良くはなかった。ブルペンで投げ込みはしますが、対バッターの中でどれだけ力のあるボールを投げられるかだと思います。バッターとしては、センバツではどのボールへの対応力は悪くなかったかなと。でも、ファーストストライクからしっかり対応できなかったので、早いカウントからどんどん打てるようになりたいです」
寮では素振り、部屋ではストレッチ
最後の遠征となった香川県の招待試合では英明との戦いで16安打されながら4失点。安打されてもあと1本を許さない粘りの投球を見せ、打っては8回1死二塁で1点ビハインドの場面で同点打を放ち、盗塁も決めた。
投と打で魅せる背番号6は、結果を残してもストイックさを失わない。この夏、もしかしたら私たちの想像をはるかに超える選手になるのではないか――。そんな空気が漂う選手こそが、根尾昂なのだ。
【連載】「常勝軍団・大阪桐蔭の挑戦2018」
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