溝江&橋本を魅了したビーチバレーの世界 砂浜に鍛えられ「みんなたくましくなる」

市川忍

水着は小さく サイズがプレーに影響!?

インドアからビーチバレーに転向して、食事に対する意識が変わったと話す2人 【写真提供:日本バレーボール協会】

――ではお二人がビーチバレーと出合って変わったことは?

溝江 食事に対する意識ですかね。

橋本 私も食事は変わりました。

溝江 ビーチバレーに転向するまでは、あまり食べられなかったんです。だけどカロリー消費量が違うので、たくさん食べるようになりました。1日3食プラス間食を3回くらい取ります。特にタンパク質と乳製品ですね。

橋本 私も食事にはすごく気を付けるようになりました。もともとは痩せやすい体質でしたが、インドア時代は所属チームの寮に住んでいたので栄養管理士さんが作ってくださったご飯を食べていました。そのおかげで体重管理ができていましたが、ビーチバレーは自炊です。自分で一から栄養のことを勉強し直す、いいきっかけでした。いっぱい食べますし、食べる物の質を選びます。

溝江 難しいのは海外ツアーに行くと、(食事を)選べないことです。そういうときは味よりも、この栄養素は何なのかってことを優先しますね。

橋本 とりあえずご飯で炭水化物を取って。

溝江 炭水化物、たんぱく質、ビタミンなどの野菜、ミネラルは自分でしょうゆを持参したり、それで足りなければサプリメントを取ったりします。
――ユニホームなど、身に付けているものにこだわりはありますか?

溝江 ありますね。写真や試合を見てもらえれば分かると思うのですが、ボトムスのお尻の面積が小さくなるようデザインしてもらっているんです。そのほうが動きやすいんです。水着の面積が大きいと、砂が入りやすくなってしまうからという理由もあります。
 あと、実はユニホームの生地の内側に滑り止めがついていて、絶対にずれないように作ってもらっているんです。これはデサントさんが開発してくださった特別な技術なんです。

橋本 (滑り止めがあるので)安心してダイブできますね。でも、最初は小さなボトムスに抵抗があって、ヒップの部分の面積の大きいボトムスをつけていたんです。でもプレーしている間に、絶対に小さい方がいいということを実感したので、今は明香さんと同じタイプのボトムスを着ています。ただ、切り替えるタイミングが難しくて、それまで大きな水着をつけていたので、前のボトムスの形に日焼けをしていたんですよ。だから、(面積の小さい水着を着たら)焼けている部分とそうでないところが、縁取りみたいになっていました(笑)。

溝江 試合で着る日よりも、早めにそれを着て練習して焼いていたよね(笑)。

思わぬ日焼け、先輩から譲り受けるパレオなど、競技以外のさまざまなエピソードを振り返る橋本(左)と溝江 【スポーツナビ】

――それから、試合後に皆さんがパレオを巻いていますが、それが素敵ですよね。

溝江 私が今、使っているのはビーチバレーを始めたばかりのころに買ったものです。選手が使っているパレオには、最初の頃は先輩から譲り受けるという伝統があるんです。それで初めて海外遠征に行ったときに自分で買います。私は最初、(ペアを組んでいた)田中姿子さんからいただいたパレオを使っていたんですけど、姿子さんとリオデジャネイロに合宿に行ったときに初めて自分で買いました。リオの海には更紗(さらさ)売りのおじさんがいるんですよ!

橋本 ビーチバレー選手の間では有名な話です(笑)。

溝江 たくさんの更紗を抱えて浜に売りに来るんです。コートの横に更紗を並べて見せてくれるので、そこで気に入った柄のものを買いました。

橋本 私はまだパレオを売っている地域に行けていないので、今は先輩にいただいたものを使っています。でも、最初はみんなが海外で買っていることを知らなくて、自分も買おうと思って、通販サイトで「更紗、パレオ」で検索して買いました。でもそこで買ったものが本当にひどくて(笑)。

溝江 そうそう。カーテンみたいなパレオ。

橋本 レースのカーテンみたいなスケスケの生地で。品質も違うので、砂が全然落ちなくて(笑)。見かねた先輩がそれぞれプレゼントしてくれて、今はたくさん持っています。

溝江 「スズがひどいのを使っているよ」ってみんな言っていました(笑)。

――競技はもちろんですが、そういったコート外で見られるこだわりにも注目してほしいですね。さて、話は五輪に移りますが東京に向けての目標を教えてください。

溝江 すべてのプレーのレベルアップは当然ですし、私はチームのブレーンとしてゲームメークをする立場なので、もっと的確にゲームメークできるようにしたいです。

橋本 私はアジアで一番のブロッカーになるのが目標です。そのためにブロッカーに必要なスキルをすべて身に付けて、磨いていきたいですね。今、私たちペアにとって一番必要なのは、それぞれの選手のスキルの向上だと2人でいつも話し合っています。コンスタントに勝ち試合ができること、そして「日本では常に勝つ」という気持ちで試合に臨みたいと思います。

溝江 自分のやるべきプレーを、それぞれが責任を持ってできるようにしたいですね。どんな状況でも安定したパフォーマンスを見せられるペアになりたいです。そして、もちろんその延長線上には東京五輪があります。

思い出の1枚エピソード

5月末〜6月開催の国際大会「FIVBビーチバレーボールワールドツアー2018 2スター晋江大会」で初優勝。2人はこの写真を、思い出の1枚に挙げた 【写真提供:日本バレーボール協会】

――最後に、思い出の写真のエピソードを教えてください。
溝江 海外ツアーの表彰台で君が代を聞くことが目標のひとつでした。それを2回も聞けて(※編集部注)、それに晋江は2スターの大会で男子選手もいる中で君が代が聞けて、一番高い場所に掲げられる日の丸を見ることができたので感動しました。
※溝江、橋本組は、5月初めのワールドツアー1スターベトナム大会でも優勝

橋本 海外で聞く君が代は感動的でした。私は初めてシャンパンファイトをしたのですが要領が分からなくて、みんながシャンパンを浴びている中、私だけ瓶を持ったまま立っていて、明香さんに開け方を教えてもらいました(笑)。またあの楽しさを味わいたいです!

肖像承認番号:JVA2018-06-015

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著者プロフィール

フリーランスライター/「Number」(文藝春秋)、「Sportiva」(集英社)などで執筆。プロ野球、男子バレーボールを中心に活動中。

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