DeNAラミレス監督が語る勝利へのカギ 「先発が安定すれば混戦から抜け出せる」
ここまでのチームの戦い方と今後の展望について語ったラミレス監督 【(C)YDB】
20年ぶりのリーグ優勝に向けチームを率いる指揮官は、ここまでの戦いをどう振り返るのか。そしてシーズン後半を見据えて、どんな展望を描くのか。就任3年目を迎えたラミレス監督に話を聞いた。
ビッグサプライズは東克樹の存在
ラミレスがビッグサプライズと名前を挙げたルーキーの東 【(C)YDB】
交流戦の最初の2試合で連勝して、いい滑り出しができたが、その後に5連敗もあって順位を落としてしまった。全体的に見ても、もう少しいい成績が残せたのではないかという思いがある。
――今年のチームを率いている中で、いちばんのビッグサプライズは何でしたか?
やはり東克樹の存在だ。ルーキーであるにもかかわらず、毎試合、安定した投球を見せてくれて、エースと言っても過言ではないほどの活躍をしている。「今回はここが良くなったな」「次の登板ではここが改善された」といったように、試合の度にいいところを見せてくれていると思う。
――逆に、悪いほうのサプライズ、誤算だったのはどんなことでしょうか。
石田健大、今永昇太、浜口遥大の左腕3枚が、いまのような状況になっていることだ。昨シーズンは、この3人だけで27勝した(石田6勝、今永11勝、浜口10勝)。それが今年は3人合わせても、2勝9敗だからね(石田1勝5敗、今永1勝4敗、浜口0勝0敗)。期待したような結果になっているとは言いがたい部分だ。
――その中でも特に石田投手と今永投手の2人に関しては、苦しんでいるのかなと感じずにはいられません。監督の目にはどう映っていますか。
石田は球速も悪くないし、安定した投球を見せてくれているとは思うが、球種の使い方などがなかなかうまくいっていないのかなと感じる。
今永は最初はケガで出遅れて、今度は技術的なところでもがいているように思う。何かを試してみて、それがうまくいかないとなると、またすぐに次のものを試す。そういう繰り返しの中で、まだかみ合っていない印象だ。今永がいい時というのは、雰囲気を醸し出して投げているように見えるものだが、いまの今永はそういったものが感じられず、ただ投げているだけのような印象を受ける。現段階では、彼本来の姿とはまったく違うのかなと思う。
「若手には5イニングを投げてもらう」
若手の投手に関しては、5イニングを投げてもらえれば十分だという考え方がベースにある。いま名前の挙がった3人は、速い球でどんどん押していくタイプではないので、どうしても打線が3回り目に入ってきた辺りでアジャストされてしまう。チームが勝利するためには、そこで継投に入るのがいいと考えているし、展開次第では彼ら自身にも勝ち星がつく。
たとえば京山は、横浜スタジアムに限ると6試合に投げて3勝2敗という成績だが、防御率は7点台だ。つまり5回まで投げると、3〜4点を失う計算。もし5回3失点でリードしている状況なら、それ以上無理はさせず、継投に入ることでさらに失点するのを避けられるかもしれない。そうすればチームも勝つし、彼にも勝ち星がつく形になる。
――早めの継投には、ブルペン陣に対する信頼の強さも影響していると思います。監督は開幕前から「リリーフが最大の強みになる」と言っていましたが、ここまでの働きぶりをどう評価しますか。
先発が6回ぐらいで降板するパターンが多い中で、非常に良くやってくれている。やはりリリーバーたちはわれわれの強みであると言うことができると思う。
――監督が考える各投手の役割をあらためて教えていただけますか。
勝ちパターンとしては、7回はエスコバーと三上朋也の2人に担ってもらい、8回のセットアップがパットン、9回のクローザーはもちろん山崎康晃だ(エスコバーは登録抹消中)。ほかの投手たちには、基本的にはどんな状況でも行ってもらう。このところ三嶋一輝の状態が非常にいいので、1点ビハインドあるいは同点のシチュエーションでも頑張ってもらっている。
シーズン序盤は、井納翔一が勝ちパターンの一角としてよくやってくれた。ただ、徐々に打たれるようになって、それが何試合か続いたことで、勝ちパターンの投手としての自信を失ってしまったのかなと思う。いまはファームで先発として再調整してもらっている。