DeNAラミレス監督が語る勝利へのカギ 「先発が安定すれば混戦から抜け出せる」

日比野恭三

ここまでのチームの戦い方と今後の展望について語ったラミレス監督 【(C)YDB】

 6月19日、横浜DeNAは東北楽天に1対7で敗れ、交流戦を8勝10敗と負け越して終えた。これで62試合を消化して、29勝31敗2分のセ・リーグ2位。首位の広島を4ゲーム差で追う。

 20年ぶりのリーグ優勝に向けチームを率いる指揮官は、ここまでの戦いをどう振り返るのか。そしてシーズン後半を見据えて、どんな展望を描くのか。就任3年目を迎えたラミレス監督に話を聞いた。

ビッグサプライズは東克樹の存在

ラミレスがビッグサプライズと名前を挙げたルーキーの東 【(C)YDB】

――ここまでのところ、5割前後の成績が続いていますが、それについては率直にどう思われますか。想定の範囲内でしょうか。

 交流戦の最初の2試合で連勝して、いい滑り出しができたが、その後に5連敗もあって順位を落としてしまった。全体的に見ても、もう少しいい成績が残せたのではないかという思いがある。

――今年のチームを率いている中で、いちばんのビッグサプライズは何でしたか?

 やはり東克樹の存在だ。ルーキーであるにもかかわらず、毎試合、安定した投球を見せてくれて、エースと言っても過言ではないほどの活躍をしている。「今回はここが良くなったな」「次の登板ではここが改善された」といったように、試合の度にいいところを見せてくれていると思う。

――逆に、悪いほうのサプライズ、誤算だったのはどんなことでしょうか。

 石田健大、今永昇太、浜口遥大の左腕3枚が、いまのような状況になっていることだ。昨シーズンは、この3人だけで27勝した(石田6勝、今永11勝、浜口10勝)。それが今年は3人合わせても、2勝9敗だからね(石田1勝5敗、今永1勝4敗、浜口0勝0敗)。期待したような結果になっているとは言いがたい部分だ。

――その中でも特に石田投手と今永投手の2人に関しては、苦しんでいるのかなと感じずにはいられません。監督の目にはどう映っていますか。

 石田は球速も悪くないし、安定した投球を見せてくれているとは思うが、球種の使い方などがなかなかうまくいっていないのかなと感じる。

 今永は最初はケガで出遅れて、今度は技術的なところでもがいているように思う。何かを試してみて、それがうまくいかないとなると、またすぐに次のものを試す。そういう繰り返しの中で、まだかみ合っていない印象だ。今永がいい時というのは、雰囲気を醸し出して投げているように見えるものだが、いまの今永はそういったものが感じられず、ただ投げているだけのような印象を受ける。現段階では、彼本来の姿とはまったく違うのかなと思う。

「若手には5イニングを投げてもらう」

――先発陣は、飯塚悟史投手、平良拳太郎投手、京山将弥投手といった若い右腕にチャンスが与えられる形となりました。ただ、5〜6回を投げた後、次のイニングも続投させる判断をしながら、出塁を許したところで交代させるというケースが多いように感じます。

 若手の投手に関しては、5イニングを投げてもらえれば十分だという考え方がベースにある。いま名前の挙がった3人は、速い球でどんどん押していくタイプではないので、どうしても打線が3回り目に入ってきた辺りでアジャストされてしまう。チームが勝利するためには、そこで継投に入るのがいいと考えているし、展開次第では彼ら自身にも勝ち星がつく。

 たとえば京山は、横浜スタジアムに限ると6試合に投げて3勝2敗という成績だが、防御率は7点台だ。つまり5回まで投げると、3〜4点を失う計算。もし5回3失点でリードしている状況なら、それ以上無理はさせず、継投に入ることでさらに失点するのを避けられるかもしれない。そうすればチームも勝つし、彼にも勝ち星がつく形になる。

――早めの継投には、ブルペン陣に対する信頼の強さも影響していると思います。監督は開幕前から「リリーフが最大の強みになる」と言っていましたが、ここまでの働きぶりをどう評価しますか。

 先発が6回ぐらいで降板するパターンが多い中で、非常に良くやってくれている。やはりリリーバーたちはわれわれの強みであると言うことができると思う。

――監督が考える各投手の役割をあらためて教えていただけますか。

 勝ちパターンとしては、7回はエスコバーと三上朋也の2人に担ってもらい、8回のセットアップがパットン、9回のクローザーはもちろん山崎康晃だ(エスコバーは登録抹消中)。ほかの投手たちには、基本的にはどんな状況でも行ってもらう。このところ三嶋一輝の状態が非常にいいので、1点ビハインドあるいは同点のシチュエーションでも頑張ってもらっている。

 シーズン序盤は、井納翔一が勝ちパターンの一角としてよくやってくれた。ただ、徐々に打たれるようになって、それが何試合か続いたことで、勝ちパターンの投手としての自信を失ってしまったのかなと思う。いまはファームで先発として再調整してもらっている。

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著者プロフィール

1981年、宮崎県生まれ。2010年より『Number』編集部の所属となり、同誌の編集および執筆に従事。6年間の在籍を経て2016年、フリーに。野球やボクシングを中心とした各種競技、またスポーツビジネスを中心的なフィールドとして活動中。

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