レッドブル・ホンダは実現するのか? パワーユニットをめぐるF1界の攻防
判断基準は純粋にPUの性能
カナダGPで新PUを投入したトロロッソ・ホンダ。予選ではハートレーが健闘したが… 【Getty Images】
ここまではルノーと蜜月だったが、14年に現在のエンジンルールとなると、メルセデスが他を圧倒。PUの差は明らかで、これがレッドブルとルノーとの仲を一気に冷え込ませた。さらに16年は中身こそルノーエンジンだが、タグ・ホイヤーのエンブレムを付けたエンジンとなる。レッドブルは他のPUを搭載したいと考えていたが、メルセデスもフェラーリもライバルとなるチームには協力できない姿勢を示した。そんなルノーエンジンに不満を感じていたところへ現れたのがホンダだ。一見、すぐ乗り換えるように見えたが、そこはレッドブル。自社のエナジードリンクを売りまくっていることで、彼らの資金は潤沢だ。レッドブルの姿勢は、この先を戦えるPUかどうか。もしホンダ製PUに近々の競争力がないと判断されれば、高く支払ってもルノー製PUを再度選択するだろう。
つまり、レッドブルにはホンダに忖度(そんたく)する理由もなければ、スポンサーマネーといった弱みもない。一方、自動車メーカー系は当然自社PUを使うから、資金はあるが自社以外に冒険することができない。レッドブルは、冒頭出てきた企業のように、純粋に結果を最短で出せる体制を組むために供給メーカーを探している。
そして今回のカナダGPだ。正直、ホンダがルノー製PUにパワーで追いついた様子や、進化レベルでは追い越すといった、近い将来の明るさは判断がつかなかった。もちろん、それはガスリーに起きた新型PUの不調だったり、ハートレーが巻き込まれたクラッシュといった具合に、新型PUのアップデートぶりを確認することができなかった点が大きいのだが、それでも、現在のホンダ製PUには、期待はするが、まだ確信が持てる状況といえるかは微妙だ。
果たしてレッドブルはいつ決断するか。すでに第9戦オーストリアGP(7月1日決勝)でホンダ選択を発表というニュースもあるようだが、もし本当であれば、ホンダの潜在性が認められたのだから、喜ばしいことだ。本当にそんな吉報が届くのか、6月は日本のF1ファンやホンダにとって、ジメジメではなく、ソワソワする季節となりそうだ。