セは投打で中日勢、パは3人の先発が活躍 新外国人通信簿2018〜開幕2カ月編〜
マルティネスは5試合でHQS達成
日本ハム先発陣の一角を担うマルティネス。イニングイーターの特徴があり、投手陣を支えている 【写真は共同】
1人目は、WBCカナダ代表の技巧派左腕、アルバース(オリックス)。
高い制球力と多彩な変化球を武器に、4月4日の千葉ロッテ戦で6回3安打1失点の好投で初勝利を挙げると、ここまで9試合で6勝1敗、防御率2.62。抜群の安定感で勝ち星、防御率ともにチームトップ、リーグでも上位5傑にランクインしている。
2人目は、ボルシンガー(ロッテ)。
オープン戦では苦しんだが、3月31日の東北楽天戦で7回途中4安打1失点の好投を見せ、幸先よく初登板初勝利。4月は2試合のみの登板に終わったが、5月に入って一気に調子を上げて目下5連勝中。ここまで8試合でアルバースと並ぶリーグ3位の6勝(1敗)を挙げ、規定投球回不足ながらリーグ2位に相当する防御率2.36をマークしている。
3人目は、メジャー通算17勝の実績を誇るマルティネス(北海道日本ハム)。
力強いストレートと豊富なスタミナ、高いゲームメーク能力を武器に、ここまで9試合に先発し5勝4敗、防御率2.77。夫人の出産に立ち会うために登録を外れ、復帰直後の試合(5月8日のオリックス戦)こそ4回途中8失点と乱れるも、それ以外の8試合はQS(6回3自責点以下)をクリアし、うち5試合はHQS(7回2自責点以下)で3完投。勝ち星以上にチームへの貢献度は高い。
リリーフで奮闘のトンキン&ワグナー
メジャーで通算141試合登板の経験を持つトンキン(日本ハム)は、ここまで22試合に登板して2勝0敗12セーブ、防御率2.08と安定感抜群。セットアッパーから守護神へと立場を変えながら、すでにチームに不可欠な存在となっている。同通算52試合登板の経験を持つワグナー(埼玉西武)は、開幕当初こそ不安定だったが、徐々に能力を発揮。ここまで22試合にマウンドに上がり、2勝1敗5ホールド、防御率2.18。チーム積年の課題であったブルペン陣を力強く支えている。
評価が難しいのが、カスティーヨ(西武)。開幕から先発ローテとして稼働するも、ここまで9試合で3勝3敗、防御率4.59。全9試合で4イニング以上、うち4試合で6イニング以上を投げているが、もう少し失点を減らしたい。リリーバーのシェッパーズ(ロッテ)は、ここまで22試合に登板して0勝1敗9ホールド、防御率3.86とまずまずの数字。6月1日に2軍へ再調整となったが、リフレッシュしてすぐに戻って来てくれるはずだ。
メジャー通算44本塁打のアルシア(日本ハム)は打率こそ2割7分7厘と及第点だが、ここまで3本塁打と期待された長打力が影を潜め、得点圏打率2割2分6厘も相まって評価が分かれるところである。
突如目覚めたドミンゲス
外野手のディクソン(東北楽天)は5月下旬に4試合(うちスタメン3試合)に出場したが、13打数1安打と振るわず再調整。グラシアル(福岡ソフトバンク)は出番が少ない中で打率3割(30打数9安打)をマークしていたが、5月24日の試合で左手薬指を骨折し、復帰まで2カ月の見込み。ペゲーロ(ロッテ)は2軍で40試合に出場して打率2割5分6厘、5本塁打、23打点と奮闘するも、1軍での出番はもらえていない。
その中で急浮上したのがドミンゲス(ロッテ)である。オープン戦から打撃不振が続いていたが、2軍で徐々に結果を残して5月5日に1軍昇格。すると、19日のソフトバンク戦から27日のオリックス戦までの出場6試合で5本塁打の大暴れ。この一連の動きを見たファンの間では、「ボーリック(1999年〜2002年に在籍)の再来」との声も。交流戦では再び当たりが止まり気味だが、一発長打の魅力は今のマリーンズ打線には欠かせない。
開幕から2カ月が過ぎ、日本での生活にも慣れてきただろうが、ここから日本列島は梅雨から夏というスポーツをする上では過酷な時期を迎える。初来日の外国人たちにとってはなお不快に感じる季節。自らの実力、能力を認知させた後、ここからの働きで評価はまた大きく変わってくるかもしれない。
(ベースボール・タイムズ)