むしろ狙い目?初距離が嫌われるスワーヴ 好メンバー集結、安田記念の記者座談会

競馬専門紙「優馬」

競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会

 東京GI5連戦のラストを飾る安田記念。注目は、大阪杯で待望のGI制覇を果たした勢いをそのままに、マイル戦線に殴り込みをかけてきたスワーヴリチャードだが、マイルCSの覇者ペルシアンナイトをはじめとする強豪たちがどう迎え撃つのか。優馬TM(トラックマン)陣の結論は如何に。

大阪杯の再戦ムード マイルでもスワーヴリチャードか?

人気のスワーヴリチャードはマイルの距離が初めて(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

デスク「大阪杯でようやくGIウィナーの仲間入りを果たしたスワーヴリチャードの参戦には驚かされたけど、実力は認めても、マイルが初めてで、しかもGIの舞台で信頼していいものか」

武井「大阪杯は、それまで苦手とされてきた右回りでのものですし、今年に入ってからのスワーヴリチャードは、さらに地力を強化してきたと言えますね。ここは初めてのマイル戦で速い流れに対応できるかが鍵となりますが、前向きな気性で中距離戦では常に折り合いに気を遣ってきた馬ですし、前走で後半1000m57秒1という流れを馬なりで進出したあたり、スピード的にも十分に対応できるはずです。最も得意とする東京コースなら素直に実力を信頼すべきでしょう」

山崎「いつも水曜の夜は美浦支局で調教チェックをしていますが、伸びのあるフットワークで、無理をせずにほぼ馬なりで猛時計を出したスワーヴリチャードの最終追いを見た時点で本命に決めましたよ。その調教や前走内容を考えても、僕もマイルに対応できるスピードはあると見てますし、あとは初距離が嫌われて少しでもオッズが上がることに期待しているんですが」

田崎「昨秋のマイルCSで久々に3歳馬が勝ったという事実は、もちろん勝ち馬が強かっただけでなく、現在のマイル路線が手薄なメンバーだと見ることもできますよね。スワーヴリチャードは最内枠を引いたということで、スタートを決めたいところですが、このメンバーで得意の左回りなら負けるシーンが思い浮かびませんよ」

デスク「ただ、前走はスローな流れだったから、出遅れをマクって行けたけど、マイル戦で出遅れたらあんな競馬はできないよな」

広田「確かに、前走は向正でペースが緩んだところを一気に押し上げたジョッキーの好判断があったと思いますが、3コーナーで先頭に立ってから巧く折り合って押し切ったんですから、本当に強い競馬をしていますよ。陣営も、さすがにマイル戦での出遅れは致命傷となる可能性もあるだけに、1週前にはゲート練習を行うなど対策は万全ですからね」

小島「僕もスワーヴリチャードの強さは認めますが、けっして初のマイル戦がプラスとなるわけではないですし、春の東京のGIでのデムーロ騎手のリズムの悪さも気になります。人気を考えると買うにはリスクが高いと思いますよ。ザキヤマが喜びそうなことを言っているわけですが……」

デスク「その大阪杯では、スワーヴリチャードに屈したペルシアンナイトだけど、コンマ1秒なら決定的な差でもないし、マイルなら話は別かもしれないよな」

中邑ペルシアンナイトの大阪杯は、道中で力む面を見せながらの好走ですし、上位3頭の中ではゴール前の脚勢が一番目立ってましたからね。この馬もマイルCSを勝った当時より確実にパワーアップした印象を受けますし、ベストのマイルなら逆転できますよ」

加茂「前走のみならず皐月賞でも2着しているとはいえ、ペルシアンナイトのベストがマイルだということに疑いの余地はないですやろ。マイルのチャンピオンホースに、この3年で安田記念2勝の鞍上なら、鬼に金棒ですわ」

佐藤直「さっき田崎が触れていたけど、3歳でマイルCSを勝った馬はペルシアンナイト以前に3頭しかいなくて、その内、古馬になって出走できなかったサッカーボーイを除いたタイキシャトルとアグネスデジタルは、ともにその後に安田記念を勝っているんだよ。俺はメンバーに恵まれたわけではないという判断だし、前例どおりに勝てると思うぞ」

山崎「1万円馬券対決は単勝一本にしましたけど、連ならスワーヴリチャードの相手はペルシアンナイト一本でいいでしょうね。大阪杯の上位2頭が、ここでもそのままワンツーで、という線が濃厚だと思いますよ」

那谷「盛り上がっているところに水を差すような話になるけど、ペルシアンナイトは、マイルCSにしても大阪杯にしても、力の違いを見せた内容ではなく、鞍上の巧みな騎乗が光ったもので、実際に陣営もこの2戦については“かなりうまくいった”という評価なんだ。加えて、先週までの東京の馬場状態を考えれば、おそらく1分31秒台の高速決着になると思うけど、そうなると長めの距離を使ってきた馬よりも、短い距離に実績がある馬の方が有利なんじゃないかな。32秒台半ばくらいの決着ならペルシアンナイトでも対応できると思うけど」

デスク「そのあたりは、陣営も弱気、ってことなのか?」

那谷「そういうわけではないんだ。仕上りに関しては川田騎手が先週の段階で“息遣いが気なる”と漏らしていたんだけど、池江寿師は“今週のひと追いで態勢は整った”と自信の表情を見せてたからな。中性脂肪の値も追い切るごとに下がっているようだし、何より動きは豪快そのもの。混迷を極めるマイル戦線において、真のチャンピオンになれるかどうか、試金石の一戦になると思うよ」

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著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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