西野監督「対応力を選手たちに求めたい」 ロシアW杯登録メンバー23名 発表会見

スポーツナビ

選考にあたって、いろいろな可能性を考えた

西野監督はさまざま場面を想定し、いろいろな可能性を考えたという 【スポーツナビ】

――W杯を戦う23名を決めた今の思い、心境は?

西野 日本サッカー界はブラジル(大会)から今まで、ブラジルでの結果を踏まえて成長し、ロシアに向けての強化を進めてきました。その中で選手たちもお互い切磋琢磨(せっさたくま)しながら、いちプレーヤーとしての競争の中で目指してきた大会です。そういう中で最終的に今日、23人を選ばなければいけない。指導者にとって選べる、選ぶということの厳しさは、どんな指導者も持っています。

 代表チームに関しては、いろいろな可能性を選手たちは持っていますし、それをチーム、サムライブルーの形に、ロシアW杯という大舞台でフットボールを見せなければいけないという中で、そのメンバーを選考するということですから。しかもこの期間で、決めさせてもらったということ。

 たくさんの、このロシアへの舞台を作ってくれた選手たちがいます。現在、非常に伸びている選手たちもいます。これから飛躍してくれるであろう選手たちもたくさんいますし、そういういろいろな要素を含めて選ばなければいけない、代表メンバーですので、これは瞬間に決められるものでもない。昨日のゲームがもちろんすべてではないですし、いろいろと総合的に考えた中で、来月の19日(コロンビア戦)にベストパフォーマンスを出してくれる選手。いろいろな可能性を考えた中で選ばせてもらいました。

――いつ、最終的なメンバーを決断したのか?

西野 最終的には今朝です。昨日のゲームをプレーした選手たちを含めて全員のメディカルチェックを行って、その上で最終的に、スタッフの意見も聞きたい中で、今朝、最終的には決めました。ただ自分の中で、昨日(試合が)終わった時点でほとんど大きなけががなかったので、その中でリストは作らせてもらいました。

――選考で重視したポイント、基準はどのような点だったのか?

西野 大会に臨むにあたって、対戦国も含めていろいろなプランを立てる、いろいろなシチュエーションを考えた中で、どれだけ絵を描けるか、その中に選手がどう入ってくるのかという可能性をたくさん持ちたいというのが、指導者が(考えを)持つことですので。そういうタレントがこれからどう組んでいけるか、そういうことを考える中で、(18日の会見で)ポリバレントと言いましたけれど、そういうことも含めていろいろな可能性を考えたい。そういう基準が1つあります。自分の中で(グループリーグの)第1試合、第2試合、第3試合というようなシミュレーションをいろいろできる、そういう中で選手がそこに入ってくることを考えながら(選考しました)。そうすると非常に膨らんでくることは間違いないんですね。そういう選手たちの可能性を信じたいと思っています。

外れた3人は「これからの日本サッカーを背負ってくれる選手」

(右から)浅野、井手口、三竿を「これからの日本サッカーを背負ってくれる選手」と評した 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――外れた3人、井手口陽介、浅野拓磨、三竿健斗についてどう考えているか?

西野 非常に有望な若手の3人なんです。本当にこの舞台に立たせてくれたのも、彼らの力が大きいですし、彼らの代表でのパフォーマンスは強く感じていますし、それを求めたいです。ただ、彼らの現状がそういう環境でなかったということがあって、そういう中で鍛えられている彼らであれば、さらに彼らが現時点で(リストに)いたと思います。それを非常に僕は期待して、確認したいということで招集しました。

 非常にパフォーマンスは上がってきていました。昨日も制限された時間でしたけれども、トライはしてくれましたが、可能性は非常に、先ほど言った可能性に関しては彼らももちろん(招集を)考えたいところなんですけれども、現時点でのトップパフォーマンスという中では自分の中で、(選択肢として)持てなかった。彼らには本当に期待していますし、これからの日本サッカーを背負ってくれる選手だと思っています。

――監督が選考に最も頭を悩ませたポジション、ポイントは?

西野 最初の会見で話しましたけれど、代表を選ぶ中で、やはり過去の経験値や実績はもちろんあります。現状、コンディションによってなかなか出ない選手、ただ過去の力をもって、将来、そういう可能性を感じる選手たちについても基準として考えました。現状、非常に飛躍している選手もいますし、これから将来的に伸びてくるであろう選手たちという見方もあると思います。そういう中でどう判断していくか。19日(の初戦)、開幕にそういう要素を含めてトップのパフォーマンスをもってくれるだろうという選手を常に考えて、選手を見てきました。

――この23人で、日本代表としてどんなサッカーを志していきたいか?

西野 そういう絵をたくさん描きたいと思います。積み上げてきた素晴らしいストロングポイントもありますし、そういうところを生かした代表でありたいです。また違う対応をした、変化を持たせたチームでそういうサッカーを披露したいとも思います。いろいろまた変化していくと思いますし、わずかですけれども各チームに対応できるベストなゲームができる代表チームを結束して、全員で作り上げていきたいと思っています。

――多様性、流動性が重要になると聞こえるが、W杯での具体的な目標を教えてほしい。

西野 今、日本チームらしい、日本のサッカーをやりたいという大きな目標を強く持っています。具体的に数字的でということであれば、1試合1試合ポイントを取って、グループステージは抜けたいなと。そういう数字が残せれば、日本のサッカーはある程度、表現、披露できるのではないかと思っています。

対応力を選手たちに求めたい

――先ほど、井手口選手、浅野選手はトップパフォーマンスのイメージを描けなかったと言っていた。一方で、今回の合宿で別メニューが続いていた乾選手はメンバーに入っている。この分かれ目というのは、乾選手はけがが回復して、19日にトップコンディションになる。井手口選手、浅野選手はそれが難しいくらいゲーム勘が衰えているという判断なのか?

西野 乾や岡崎に関しては、30日の代表としてのゲームまでにどれだけ回復するかという基準がある程度ある、と本人に伝えていました。乾も昨日の試合に出られないことはなかったのですが、強引に入る、そこはリスクを考えて避けさせました。もちろんリスクはありますので。ただそういう状況に回復しているということ、これからは全体的に練習に合流できる確証をもっていました。昨日も彼のメディカル的なところをどう捉えるか、メンバーにどう影響するかということも考えました。

 井手口や浅野との比較ではなく、彼(乾)自身がプレーできるか。彼のああいうスタイルは代表チームには少ないので、そこは最後まで求めました。そしてメディカル的にも問題ない。確かにゲームでは確認できませんでしたが、彼の場合は2週間前にトップフォームでいい状態でしたので。そういう予測のもと、彼だけを考える中でロシアには十分入れると。

 井手口と浅野はゲーム勘だけです。フィジカル的、感覚的には高まってきていますし、ただ、確証をなかなか持てないところがありました。ここから2週間で本大会でトップフォームにもってこられるか、確証が持てませんでした。本当に悪くないんです、本当にいいプレーを現状してきているので対象ではありましたけれど、ポジションのバランスもありましたので、乾をチョイスしました。

――今回のメンバーを見る限り、実績のある選手が多い印象を受ける。日本サッカー界の将来を見据えて若い選手を呼ぶ考え方もあったと思うが、ロシア大会で勝つ可能性をより突き詰めたという捉え方でいいのか?

西野 実績、経験値のある選手だけではないと思っています。若い選手たち、中堅の選手たち、力のある選手たちがいる。そういう選手たちにもベテランと呼ばれる選手たちから影響を強く受けて、非常にいい状況でチームに入っていると思います。ただやはり、若い選手たち、これからのサッカー界を担っていく選手たちは、もっとそういう選手たちを超えることを考えなければいけない。今、経験値がある選手たちも見ている限り、非常にいいパフォーマンスをしているので、そういうバランスを取ったチーム編成ができるのが理想だと思います。

――本番までに選手たちに戦術面とメンタル面で最も強く求めていきたいこと、キーワードを挙げてほしい。

西野 戦い方、戦略、戦術に関しては、昨日のゲームへのアプローチもそうですが、いろいろと対応していかなければいけないと思っています。いろいろな状況の中で、日本のサッカーが通用できる部分と通用できない部分、コントロールできる部分、できない部分が間違いなく起こってくる。これから高いステージの中で、自分たちが優位にゲームを進められるということも(限られる)。そういう対応力を選手たちに求めたい中で、昨日も今までと変わった戦い方をしてもらった。そういう中で選手たちも自分のポジションが多少変わっても順応して、対応してくれる。いろいろな意味で対応力が、自然にそういうことができるようになれば、(チームが)完成していくと思います。そういう強さを求めていきたいと思っています。

――メンタル面ではどうか?

西野 経験値のある選手たちが、大舞台、今までとはおそらく違う状況、感覚を持った中でピッチに立っていかなければいけない。そういう意味で大事な選手になってくると思いますし、初のW杯を体験する選手たちには難しいアプローチなので、本当に厳しい瞬間を想定させた中でプレーさせていかなければいけないと思っています。本当にコンマ何秒、1センチというような戦いの中で勝敗が決まる世界ですから、厳しい瞬間を想定させて準備していかなければいけないと思っています。

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