世界の“高さ”を攻略せよ! シッティングバレー女子日本代表の挑戦

荒木美晴

再び動き出した時計の針

精神的・技術的支柱としてチームを引っ張っている西家 【写真:荒木美晴】

 足首や膝などを負傷し、一般のバレーボールから転向する選手も多い。西家もそのひとりだ。9人制バレーボールのクラブチームなどで活躍していた西家は、試合中に左膝のじん帯を切るけがを負う。コートへの復帰を目指し、すぐに手術を受けたが、その手術の後遺症で寝たきりとなってしまい、5年半にわたる入院生活を余儀なくされた。

 先の見えない状況に希望を失ったこともあった。だが、そんな暗闇から救ってくれたのが、バレーボールだった。地元の障害者スポーツセンターで初めて見たシッティングバレーは、バレー経験者の西家から見ても「『これが本当に障がい者スポーツなのか?』と思うほど激しいものだった」そうだ。だからこそ、「やりたい!」と生気がみなぎった。

「私の左脚は伸ばした状態で痛みもあるのでできるかな、という不安もありました。でも、私の止まった時間を戻すのは、やっぱりバレーボールしかなかったんです」

 コートに戻った西家は、座った状態での動きに苦労しながらも、経験を生かしてぐんぐん成長。全日本の精神的・技術的支柱としてチームを引っ張っている。

 東京パラリンピックまであと2年。

「もっとうまくなって、結果を残したい。そして、競技の魅力を多くの人に伝えたいです」

 バレーに人生をかける西家は、2年後に迫った世界最高峰の戦いに全身全霊で挑むつもりだ。
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■5月25日(金)11:05〜11:54
「ひるまえ ほっと」 NHK総合(関東・甲信越地域のみ)

「百獣の王」武井壮さんがパラスポーツに挑戦、トップアスリートとの真剣勝負に挑みます。今回の放送は「シッティングバレー」。百獣の王、戦いの結果は…。お楽しみに!

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著者プロフィール

1998年長野パラリンピックで観戦したアイススレッジホッケーの迫力に「ズキュン!」と心を打ち抜かれ、追っかけをスタート。以来、障害者スポーツ全般の魅力に取り付かれ、国内外の大会を取材している。日本における障スポ競技の普及を願いつつマイペースに活動中

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