[連載小説]アイム・ブルー(I’m BLUE) 第4話 託されたオラルの魂

木崎f伸也
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木崎f伸也、初のフィクション小説。
イラストは人気サッカー漫画『GIANT KILLING』のツジトモが描き下ろし。

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【(C)ツジトモ】

 レーマー広場での事件から1週間後――。ドイツきっての戦術家、フランク・ノイマンは自分でも驚くほどに日本代表のことが気にかかり、4カ月後から率いるパリSCの分析は最小限にとどめ、毎日、日本の試合ばかりを見ていた。

 個人としてボールを奪う力に問題があるし、接触プレーで相手のパワーを受け流すのが下手だ。だが、きちんと設計図をつくり、歯車がはまれば、複雑なサッカーができるポテンシャルを秘めていた。

 ノイマンは書斎の上に、フランクフルトの地元紙を広げた。まだレーマー広場の事件が大きく特集されていた。

<当局がテロの可能性はなく、精神錯乱者による犯行だったと発表。大型トラックがレーマー広場を暴走し、死者5人、負傷者30人。運転席でピストル自殺した犯人の身元調査が進められている>
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著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。金子達仁のスポーツライター塾を経て、2002年夏にオランダへ移住。03年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材した。現在は東京都在住。著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『革命前夜』(風間八宏監督との共著、カンゼン)、『直撃 本田圭佑』(文藝春秋)など。17年4月に日本と海外をつなぐ新メディア「REALQ」(www.real-q.net)をスタートさせた。18年5月、「木崎f伸也」名義でサッカーW杯小説『アイム・ブルー』を連載開始

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