連載:燕軍戦記2018〜変革〜

ヤクルト坂口の新たな挑戦 慣れない守備も「ありがたい」

菊田康彦

打率はセ・リーグ2位に浮上

6日の広島戦、延長11回の熱戦に終止符を打った坂口。打撃好調でチームをけん引している 【写真は共同】

「次につなげる気持ちだけで(打席に)入ったので、結果がこうなってくれて最高に良かったです」

 5月6日、ゴールデンウイーク最終日の神宮球場。4時間近い熱戦に自らのバットで終止符を打った東京ヤクルトの坂口智隆は、お立ち台でそう言って笑顔を浮かべた。

 前日の広島戦で死球を受けて左ヒザを打撲した青木宣親に代わり、この日の同カードでは今季初の3番で出場。第3打席までは快音が聞かれなかったが、8回のレフト前ヒットで11試合連続安打を記録した。そして、3対3の同点で迎えた11回にはライトオーバーのサヨナラ二塁打を放ち、これで4試合連続のマルチヒット。打率はセ・リーグ2位の3割5分6厘まで跳ね上がった。

「毎日結果を残さないと(試合に)出られない立場なんで。(毎日)何か1つチームに貢献するっていう思いでやっている積み重ねです」

 自身の打撃好調について話す坂口だが、「結果を残さないと試合に出られない」というのは、2016年にヤクルトの一員となって以来、常に言い続けていることだ。それは2年連続でチーム最多安打をマークしても、変わることがない。

グラウンドに立てない悔しさを味わった15年

 ドラフト1巡目で03年に大阪近鉄に入団して以来、オリックスとの合併後もバファローズ一筋だった坂口が、自由契約となったのは15年オフ。球団から減額制限を超える年俸ダウンを提示され、これを拒んだ結果だった。この年は故障もあって出場わずか36試合と、なかなかグラウンドに立てない悔しさも味わっていた。

 だからヤクルト1年目の16年に目標として掲げたのは「試合に出ること。もうそれしかない」だった。この年はシーズンを通して3割前後の打率をキープし、チーム最多の141試合に出場。最後の5試合を欠場すれば自身にとって6年ぶりの3割達成となるところだったが、打率が下がることもいとわず試合に出続けた。

 翌17年もインフルエンザによる登録抹消以外は戦列を離れることはなく、この2年間で計277試合出場はチームNo.1。試合中に足を痛めて交代を打診されても首をタテに振らず、真中満前監督を「自分から痛いって言わない選手。今どき珍しいタイプだね」と唸らせたこともあった。

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著者プロフィール

静岡県出身。地方公務員、英会話講師などを経てライターに。メジャーリーグに精通し、2004〜08年はスカパー!MLB中継、16〜17年はスポナビライブMLBに出演。30年を超えるスワローズ・ウォッチャーでもある。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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