「エジプトのメッシ」サラー、覚醒の理由 ゴール量産の大活躍にバロンドールの声も

田嶋コウスケ

移籍1年目でゴール量産

リバプールのFWモハメド・サラーの快進撃が止まらない 【写真:ロイター/アフロ】

 リバプールのFWモハメド・サラーの快進撃が止まらない。

 4月24日(現地時間、以下同)に行われた欧州チャンピオンズリーグ(CL)準決勝・第1戦のローマ戦で2ゴール&2アシストの大活躍。5−2の勝利に貢献し、ファイナル進出に弾みをつけた。

 英国内での躍進も目覚ましい。プレミアリーグでは得点ランク2位のハリー・ケインに4ゴール差をつけ、31ゴールで首位を快走中。22日には、イングランド・プロサッカー選手協会の選出によるプレミアリーグ年間最優秀選手賞を受賞した。マンチェスター・シティのリーグ優勝に大きく貢献したケビン・デ・ブライネを退け、移籍1年目で大きな名誉に輝いた。

 欧州全体に目を移しても、サラーの得点記録は特筆に値する。今季の公式戦通算ゴール数「43」(48試合出場)は、リオネル・メッシの43ゴール(51試合出場)に並んで欧州トップタイ。クリスティアーノ・ロナウドの42ゴール(40試合出場)を上回っている。もちろん、試合出場数や大会数が違うので一概には言えないが、特大のインパクトを残していることで、識者や英紙の間では早くも「サラーを今年のバロンドール(欧州最優秀選手賞)に」と推す声すら出始めている。

ジェラードやランパードらも称賛

クロップ監督(奥)も「今の勢いは間違いなくワールドクラスだ」と目を細める 【写真:ロイター/アフロ】

 実際、称賛の声は各方面から聞こえる。

 リバプールOBでU−18チーム監督のスティーブン・ジェラードは、「現時点でモー(モハメドを短縮した愛称)が世界最高のプレーヤーであることに疑いの余地はない」と絶賛。また、ユルゲン・クロップ監督も「まさに絶好調。『世界最高峰』と呼ぶにはもう少し長い期間、ゴールを奪い続ける必要があるが、今の勢いは間違いなくワールドクラスだ」と目を細める。

 元イングランド代表でチェルシーOBのフランク・ランパード氏にいたっては、「C・ロナウドやメッシとの単純比較はできないが、ひとつ確かなのはモーが彼らと同じ領域に入っていること」と実力に太鼓判を押す。25歳のエジプト代表FWが、世界的名手への階段を駆け上がっているのは間違いないだろう。

 しかし、今季の活躍を予想できた英メディアは皆無に等しかった。振り返れば、リバプールが昨夏市場でローマに支払った移籍金はわずか3780万ポンド(約56億8000万円)。当時リバプールでは、サラーへの期待感よりもフィリペ・コウチーニョ(現バルセロナ)の退団騒動の方が世間の注目を集めていた。

 しかし現在、エジプト代表FWの市場価値は約5倍の1億8000万ポンド(約270億8000万円)強とも言われる。英紙『デーリー・テレグラフ』が「サラーが才能豊かな選手であることは分かっていたが、ここまで成長するとは予期できなかった」と記したように、175センチの小柄なアタッカーは世界最高峰のプレミアリーグで大化けしたのだ。

1/2ページ

著者プロフィール

1976年生まれ。埼玉県さいたま市出身。2001年より英国ロンドン在住。サッカー誌を中心に執筆と翻訳に精を出す。遅ればせながら、インスタグラムを開始

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント