森岡、ファンタジスタから戦術的な選手へ シャルルロワ戦で1ゴール、1アシスト
ファンハーゼブルック監督の戦術が浸透
アンデルレヒトで森岡はファンタジスタから戦術的な選手へと姿を変えている 【写真は共同】
昨季、ヨーロッパリーグ(EL)で決勝戦に進出した時のアヤックスも、ピーター・ボス監督(当時)によって5レーン戦術が導入されていた。一見、縦に忙しく感じることもあったサッカーは、シーズン半ばまでサポーターからの受けもよくなかったが、「旧アヤックス」の色が染み付いた選手たちを冬の移籍市場で一掃してから、一気に戦術の完成度を高めていった。昨年3月16日のELラウンド16第2戦のコペンハーゲン戦で完全に相手を支配するサッカーを披露して2−0で勝ってから、準々決勝のシャルケ戦(2−0)、準決勝のリヨン戦(4−1)と、アヤックスのホームゲームはファンを虜にしてしまった。
ファンハーゼブルック監督は、アンデルレヒトで3−4−2−1を多用している。3バック、1トップ2シャドーという選手の配置は、内側3レーンを意識したもの。外側のレーンはウイングバックがいる。このレーンを、人の出入りや、角度を付けた長短のパスによるボールの出入りで支配しながら、相手陣内に侵入していく。そして守備では、自分のレーンから釣り出されないように、しっかり自分のポジションを守る。
シーズン途中から来たファンハーゼブルック監督の戦術に、アンデルレヒトの選手たちも頭とプレーが整理し切れず、チーム状態が悪い時期が続いた。森岡がべフェレンから移籍したのも、そんなころだった。
「(監督は)常に5分割のポジションをとるように言ってますし、そういう練習も多いですね」
もともと技術と戦術理解の高い集団とあって、アンデルレヒトはシーズン終盤になって、ようやくファンハーゼブルックの唱える戦術をピッチの上で表現できるようになった。その象徴が、最近になって調子を取り戻し、高パフォーマンスをみせているCBデンドンカーだろう。
森岡の意識は、ラストパスを出す側から、もらう側へと変化している。終盤、疲れた身体にむち打って、顎を上げながらロングスプリントし、相手のハーフスペースに侵入していく森岡の姿があった。あのレーンは自分が奪う──。そんな強い意思を持ったスプリントだった。