パキスタンスターが香港QE2Cを制す 紆余曲折を乗り越えつかんだ重賞初勝利

JRA-VAN

困難を乗り越え勝利したパキスタンスター

パキスタンスターは一時出走が危うい状況だったが、見事に重賞初勝利を収めた 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 勝ったパキスタンスターは、昨年の香港ダービーを最後方から追い込んでラッパードラゴン(史上初めて香港4歳クラシックを完全制覇)に次ぐ2着に入り、昨年のQE2Cでネオリアリズムをクビ差まで追い詰めた実力の持ち主だが、その後はレースや調教で自ら走るのをやめてしまう悪癖をのぞかせて迷走。調教試験に合格してようやく今年2月にレース復帰を果たすも、前走のG2チェアマンズトロフィー(4着)でまたレースを途中でやめようとして、再び調教試験へ。その結果次第ではこのレースへの出走が危うい状況だったが、試験にパスして何とか出走にこぎ着けていた。

 騎手も当初予定していた昨年の英国リーディングジョッキーのS.デソウサ騎手が、25日になって香港行きが難しくなったためにキャンセル。その代打に指名したオーストラリアのK.マカヴォイ騎手も耳の疾患で飛行機に搭乗できなくなり、急遽白羽の矢を立てたのがW.ビュイック騎手。そんな紆余(うよ)曲折を乗り越えてつかんだパキスタンスターの重賞初勝利だけに、関係者の喜びはひとしおだったはず。今シーズンはまだ4戦しかしておらず、次走は5月27日のG1香港チャンピオンズ&チャターカップ(芝2400m)が有力だが、陣営は6月に英国で開催されるロイヤルアスコットを含め海外遠征プランも検討するという。

ファインニードルは今後に期待

チェアマンズスプリントプライズでは、日本馬のファインニードルが健闘を見せた 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 なお、G1チェアマンズスプリントプライズ(芝1200m)に出走したG1高松宮記念優勝馬ファインニードルは、道中5番手から最後の直線でもしぶとく伸びて4着。騎乗したT.ベリー騎手が「初めての非常にメジャーなレースでペースも速かったと思いますが、ラスト150mは上位3頭よりも良い脚を使っていたと思います。まだ若いですし、今後に期待したいと思います」とコメントしたように、ハイレベルな香港スプリント界のトップクラスの中で健闘を見せた。QE2Cで敗れた日本馬2頭とともに、また秋に国内でいいレースを見せて、12月の香港国際競走で今回の雪辱を果たしてくれることを期待したい。

(サラブレッドインフォメーションシステム 伊藤 雅)

2/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント