好奇心旺盛な性格もプラスに働いている。「先輩の話はすごく為になることが多いです。野球以外のことでも、いろいろな人にいろいろな話を聞くのが好きです」と、興味は野球だけにとどまらない。人生の先輩が数多くいる環境だ。自分が知らない話題には驚いて興味を示し、質問もする。人の言葉を吸収した上で自分の考えをめぐらせる。野球漬けの日々を送る１９歳が紡ぐ言葉には、プロ入り後に学んだことや、周囲の人々に対する気持ちが見え隠れする。

「プロは野球に集中できる環境で、多くの人が周りで支えてくれるので、しっかり感謝を忘れずにやっていきたいです。見られているほうが自分もやる気が出るので、２軍に足を運んでくれているファンの方のためにも、まずは目の前の試合を大切にしていきます。将来は、マリーンズの顔となる選手になって、チームの主軸として活躍して、そのうえで日本球界を代表する選手になりたいです」

　プロ野球選手がグラウンドで放つ光は、どこか非現実的な世界に思えるほどにまぶしい。しかし、安田が大きな夢を実現させたときには、美しい輝きとともに、その陰にあるものを思い返したい。まっすぐな心で、やるべきことに手を抜かない。それは誰もが自分自身に置き換えて考えられる大切なことだ。

　今はまだ、夢を叶える前の段階。この等身大の日々もまた、私たちに希望を灯してくれるプロ野球選手の姿だ。

（長谷川美帆／千葉ロッテマリーンズオフィシャルライター）