【大日本プロレス】「一騎当千」4強決定で北海道決戦へ 宮本&木高が“蛍光灯地獄”制し戴冠

高木裕美

ヤンキー二丁拳銃が4年ぶりタッグ王座奪取

「蛍光灯の壁」に激突し、破片が波しぶきのように飛び散る 【写真:SHUHEI YOKOTA】

「Death games over the wall〜蛍光灯+蛍光灯の壁+αタッグデスマッチ」と題したBJW認定タッグ選手権試合では、「ヤンキー二丁拳銃」の宮本裕向&木高イサミ組が、第45代王者組の「クレイジーラバーズ」竹田誠志&塚本拓海組を破り、約4年ぶりに王座返り咲き。次の防衛戦は5.5横浜文化体育館で、伊東竜二&関根龍一のダブルドラゴンを迎え撃つことが決定した。

 ヤンキー二丁拳銃は、タッグチームとして、これまで数々の団体で勲章を獲得。大日本では、同王座を12年11月から14年5月まで約1年半にわたり実に17度も連続防衛した他、「最侠タッグリーグ戦」では12年から14年まで3連覇を達成。他団体でも、全日本プロレスのアジアタッグ王座、DDTプロレスリングのKO−Dタッグ王座を獲得するなど、その名前と実力をとどろかせている。また、シングルプレーヤーとしても活躍し、この日のタイトルマッチでも宮本は2本、イサミは4本(タッグも含む)のベルトを手に入場した。

 ロープの二面に蛍光灯が張りつけられ、1コーナーには鉄檻に蛍光灯が突き立てられた「蛍光灯の壁」、2コーナーにはイス山、残る1コーナーにも蛍光灯束を設置。ヤンキー二丁拳銃は、ゴングを待たずに奇襲攻撃を仕掛けるも、イサミが背中から蛍光灯に被弾。宮本も場外で塚本にイス、MEGAハンマーで殴打される。しかし、ヤンキー二丁拳銃も塚本に合体フェースバスターを炸裂。塚本は宮本を「蛍光灯の壁」に突っ込もうとしてかわされ、同体で「蛍光灯の壁」へと激突。ガラスの破片が波しぶきのように飛び散り、2人の体が蛍光灯の海へと沈んでいく光景に、客席からは悲鳴とため息が漏れる。

3メートルのギガラダーからの雪崩式ブレーンバスターを敢行 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 10分過ぎ、イサミと竹田は、互いに見せ付けるかのように、自らの頭で蛍光灯束をカチ割って気合を注入。竹田がノコギリの歯をイサミの額に突き立て、ギコギコと動かすと、イサミはそれを奪い取り、わざと自分の顔面にこすりつけて、意地を見せつけた。3メートル超えのギガラダーにイサミが上ると、竹田が追いかけ、ラダーてっぺんでの頭突きからの超・雪崩式ブレーンバスター。これは宮本がカウントを阻止。しかし、イサミはその直後に場外へトペ・スイシーダを敢行し、宮本と素早く入れ替わると、リングに戻って竹田を蛍光灯束で殴打し、ヒザ蹴り、ダイビングダブルニードロップから、ギガラダー最上段からのギガラダーブレイクでフィニッシュ。14年5.31後楽園で佐藤耕平&石川修司(ツインタワーズ)に敗れてベルトを失って以来、約4年ぶりに至宝を取り戻した。

ヤンキー二丁拳銃が4年ぶりのBJWタッグ戴冠となった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 戴冠は4年ぶり、王座挑戦は15年7.20両国国技館以来約2年半ぶりの感触に、イサミは開口一番、「獲ったーっ!」と絶叫すると、「ずいぶん長い間、お待たせしました」とファンにあいさつ。しばらく手元を離れていた間に年季を増したベルトを眺め、「オレと宮本さんが、このベルト、もっとボロボロにしますんで。次は(横浜)文体、誰が相手でも120%のヤンキー二丁拳銃で勝ちます」と宣言すると、そこに高橋匡哉&植木嵩行の血みどろブラザーズが現れるが、ヤンキー二丁拳銃の2人はあえて見てみぬフリをし、後から現れた関根&伊東組には「よろしくお願いします」とガッチリ握手。最後はファンと共に「久しぶりに獲ったんだから、絶対に防衛しましょう。なぜなら、オレたちは、強い!」の決め台詞でリング上を締めた。

 デスマッチ新世代の2人の強さ、勢い、ファンからの支持率の高さを認めた上で、それでも、自分たちがタッグ戦線を盛り上げると誓ったヤンキー二丁拳銃の2人は、「前回の17回を超えるV18を最低でも達成する」と、さらなる新記録樹立を予告し、まずはその最初のステップとして、横浜でのダブルドラゴン撃退を宣言した。

“フォトジェニック”なアブ小満載の6人タッグ戦

「半分、赤い。」状態になったアブドーラ・小林 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 5.5横浜でBJWデスマッチヘビー級王者・竹田誠志に挑むアブドーラ・小林は、伊東竜二&関根龍一と組んで、高橋匡哉&植木嵩行&佐久田俊行組と有刺鉄線ボード6人タッグデスマッチで激突。有刺鉄線ボードや竹刀などがアイテムに取り入れられた「インスタ映え」する試合形式の中、フォトジェニックな小林の魅力が流血と共に引き立てられた。

 開始早々、小林の顔面にフォークが突き立てられると、顔面の右側だけが「半分、赤い。」状態に。ちょうど、この日の朝のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」で、アブドーラ・ザ・ブッチャーのフォーク攻撃の話題が登場しただけに、実にタイムリーなビジュアルとなった。

 その後も、有刺鉄線ボードでサンドイッチ状態になったところにイスをブン投げられたり、高橋と佐久田にダブルで絞首刑にあったりと、さんざんな目にあうも、ダブルのバカチンガーエルボーで反撃。「愛してまーす」からのリングインは不発に終わり、高橋組のトレイン攻撃を浴びながらも、植木をダブルアームスープレックスで投げ、バカチンガーエルボー、「イヤァオ!」からのシャイニングウィザード、有刺鉄線ボードを使ったダイビングバカチンガーエルボーからの逆エビ固めで勝利をもぎ取った。

 流血したまま休憩時間中もファンとのチェキ撮影会に臨んだ小林は、横浜での竹田とのタイトルマッチ形式について、「五寸釘ボード&フォークボード&蛍光灯マッチ&レフェリーストップなし」を要求。「デスマッチ、すべてを出します。竹田とやってデスマッチ王者になるのもオレしかない。愛を竹田にぶつける。大日本プロレスファンの皆さん、愛してまーす」と、4日前に“某老舗団体のエース”が言った台詞をさっそくパクって、王座奪取をアピールした。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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