ガラタサライの躍動感を体現する長友佑都 「ここのサッカーはめちゃくちゃ楽しい」
長友加入で勢いづいたガラタサライ
長友の加入で勢いづいたガラタサライが次に目指すのは、やはりタイトルの獲得だろう 【Getty Images】
最高の補強で攻守のバランスが劇的に上向いた今のガラタサライが目指すのは、やはりタイトルだ。2000年のUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)制覇を皮切りに、欧州ビッグクラブの1つに数えられるようになった彼らにとって、直近2年間は非常に苦しい時期だった。
というのも、16年3月、UEFA(欧州サッカー連盟)からファイナンシャルフェアプレー違反による2シーズン(昨季と今季)の欧州カップ戦出場停止処分を課せられたからだ。一昨季の15−16シーズンに在籍したルーカス・ポドルスキ(現ヴィッセル神戸)やスナイデルといったスター選手をコスト削減のために放出しなければならなくなり、昨季はリーグで4位、カップ戦でもベスト16止まりというふがいない結果に終わった。
それでも今季は開幕から上位につけ、後半戦に入ってからはほぼ首位をキープしている。27試合終了時点では、ガラタサライが勝ち点57で1位、イスタンブール・バシャクシェヒルが同56で2位、ベシクタシュが同53で3位、フェネルバフチェが同51で4位。もともとのイスタンブール3強に、与党「AKB」の支援によって近年、急成長している市役所母体クラブのバシャクシェヒルが加わって、優勝争いはイスタンブール4チームに絞られたと言っていい状況だ。
リーグ戦は残り7試合。ガラタサライは今月、バシャクシェヒル戦、ベシクタシュ戦と上位直接対決を控えている。この山場を乗り切らなければ、来季のチャンピオンズリーグ(CL)復帰は見えてこない。トルコの場合、優勝チームだけがCL本戦にストレートインができ、2位は予備戦からになる。長友自身もCL本戦出場権を得られれば、完全移籍に大きく傾くのではないか。実際、インテルはルチアーノ・スパレッティ体制継続が有力視されているだけに、ガラタサライに残った方がメリットが大きいようにも感じられる。
「残留? そればっかりは分からないけど、僕はしっかり準備して、どこに行っても輝けるような準備をするだけ。シンプルですね」
本人はそう語り、来季以降の身の振り方については明言を避けた。だが、トルコという国とサッカー、ガラタサライというクラブを非常にポジティブに捉えているのは間違いない。
サッカーに対しての熱はイタリア以上
「ここのサッカーはめちゃくちゃ楽しい」と長友。ガラタサライでのプレーに充実感を感じている 【元川悦子】
そんな中、今のガラタサライのサッカーは躍動感に満ち溢れている。それは選手みんなが自分を堂々と出しているから。トラブゾンスポル戦で先制したフェグリ、自分の前の左MFにいる(ガリー・)ロドリゲスもそうだけど、ミスを怖がらずにガンガンいく。テリム監督もめちゃくちゃアグレッシブだし、ホントにやっていて面白いですね」
長友は、あらためて充実感を口にした。躍動感あるサッカーでトルコ制覇を果たし、その勢いと自信を18年ワールドカップロシア大会に挑む日本代表に持ち込んでくれれば、それは理想的なシナリオになる。長友自身も、どうしたらそれができるかを真剣に考えている様子だ。
「ここのサッカーがめちゃくちゃ楽しいからこそ、代表で感じているもののギャップが正直、すごくありますね。今は全然みんな楽しそうじゃない。イキイキしていないことが僕自身、一番歯がゆいし、いいチームにはなっていかないと思うんです。1人が恐怖を持つと、そういう空気はチームに伝染していくものですからね。そうならないように、みんながある程度は自分の本能的な部分でやった方がいい。僕はそう感じます」
トルコという地で新たな経験値を積み重ねている百戦錬磨の男の言葉は重い。日本代表、日本サッカーを前向きな方向に変化させるべく、日本屈指の左SB・長友佑都には「怖がらず、果敢に挑み続ける姿」を率先して示してほしい。