連載:未来に輝け! ニッポンのアスリートたち
バド渡辺勇大を成長させた“2万回” 中学までは無名も、全英OP制覇
中学までは無名 強くなるために始めた事
混合ダブルスで組む東野(手前)は、高校の先輩。息の合ったプレーを見せる 【写真:ロイター/アフロ】
「同じチームにいたライバル(小倉由嵩・現日本大)に、ずっと勝てませんでした。でもそこで、チャレンジする力が身についたと思うし、ライバルがいたからこそ強くなれた」と渡辺は振り返る。
東京の親元を離れた中学時代も、なかなか結果は出ない。ただ、強くなるための伏線として面白いエピソードがある。生活していた寮のげた箱に『靴をそろえる』という貼り紙があった。渡辺は、どうせやるならとことんやろうと、トイレのスリッパまでをすべてきちんと並べるようにした。1カ月続けると、それが当たり前の習慣になる。だから、と渡辺はいう。
「“人間は2万回同じことを繰り返せば必ず覚える”というのをなにかの本で読んだのですが、バドミントンでもそうだと思う。だから僕は、正解だと思うことをとことんやり抜けるんだと思います」
2種目でのメダルを目指して「2倍、3倍の努力を」
「そういう選択肢は、僕にはありません。難しいというなら2倍、3倍の努力をすればいいし、それが当たり前だと思ってやっています。全英の優勝で期待されるのはありがたいし、そのプレッシャーを自分のなかで整理して、力に変えていきたい」と渡辺はいう。
「好きなところは、多種多様なお店がたくさんあるので、欲しいと思ったときに欲しいものがすぐ手に入ること。嫌いなのは満員電車(笑)」という東京。
まずは、その故郷での20年オリンピック出場という「欲しいもの」を手に入れよう。そして「すぐ手に入る」というわけにはいかないだろうが、MD、XD両種目のメダルを目指そうじゃないか。