アジア大会マラソン代表に井上ら選出「暑さの中で勝負して勝つのがテーマ」

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代表に選ばれた井上は、「自分の走りで金メダルを狙っていきたい」と宣言した 【スポーツナビ】

 日本陸上競技連盟は16日、都内で会見を開き、今夏に行われるアジア競技大会(8月25日開幕/インドネシア・ジャカルタ)の男女マラソン日本代表選手を発表し、男子は井上大仁(MHPS)、園田隼人(黒崎播磨)、女子は野上恵子(十八銀行)、田中華絵(資生堂)が選出された。なお補欠として男子は、上門大祐(大塚製薬)、大塚祥平(九電工)、女子は小原怜(天満屋)、加藤岬(九電工)が選ばれた。

 選考について河野匡強化委員会長距離・マラソンディレクターは「チーム関係者らと協議を重ねて、現場の意向を尊重する形で進めた」と説明した。その中で、「井上選手は昨年の世界陸上ロンドン大会での日本代表としての自分の走り(2時間16分54秒で26位)を悔しいと思っており、東京五輪に備えて、日の丸を付け暑さの中で走りたいという本人の意向を含め代表に選出した」と明かした。

 2月の東京マラソンで日本記録を出した設楽悠太(Honda)、1月の大阪国際女子マラソンで優勝した松田瑞生(ダイハツ)といった選手が選ばれなかったことに関して、瀬古利彦強化委員会マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは、「できれば日本のトップランナーが出てほしいというのはある。しかし彼らには世界に近づく記録を出したいという目的があって、それは彼らにとって東京を戦う上で自信がつくことだと思っている」と述べた。

 代表発表後には、井上が登場し「暑さの中で勝負して勝つのをテーマにして頑張りたい」と意気込みを語っている。

 以下、代表発表会見のコメント要旨。

瀬古リーダー「井上選手の出場に感謝」

瀬古リーダーは、各選手への期待感を示した 【スポーツナビ】

――暑熱対策について、現段階ではどのようなことを考えているか。また昨年8月のデータを測定した合宿の知見が反映されている部分もあるのか?

河野ディレクター 普段の生活で注意すべきことは何項目か挙がっています。大会を控えて準備するのではなく、普段から暑さに対する対応を意識付けしておくことが必要ではないかという知見が得られています。マラソンの代表選手だけでなく、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)有資格者も含めて継続してやっていこうとなっています。今後の夏のレースも有効に使いながら、もっと有益な情報や知見が得られないかと思っております。何をやるかというよりも、今は材料を絞りながらやっていくという段階です。

――代表選手については

瀬古リーダー 2番目の記録を持っている井上選手が出てくれることに本当に感謝しています。園田選手も(2月の別府大分毎日マラソンで)寒い中で走った我慢強さがありますが、暑さにも強いと聞いています。我慢ができる選手だと思っています。

 女子に関しては、野上選手も我慢強さがあるので、しっかりとベテランらしく安定性を持って頑張ってメダルを取ってほしい。田中選手にはメダル目指して、実力でMGC(資格)を勝ち取ってほしいと思います()。

MGC出場権を獲得していない田中は、アジア大会で3位以内に入ればワイルドカードを獲得することができる

井上「やるからには、アジアで金メダルを」

井上は東京五輪へ向けて「一本一本のレースを、大事に全力で取り組んでいく」と誓った 【スポーツナビ】

――意気込みは?

井上 このたびは選んでいただいて、感謝しています。今回の目標は、厳しい環境の中でどれだけ自分の走りができるか。具体的なタイムは考えていませんが、暑さの中で勝負して勝つのをテーマにして頑張りたいです。

――昨年の世界陸上での悔しさがある中で、再び日本代表として走る思いは?

井上 世界陸上では悔しいレースでしたので、もちろんそのリベンジというのもあります。しかし、それがだめだったから今回頑張りますではなく、次の目標を持って、課題を考えながら取り組んでいきたいと思っています。

――設楽選手や大迫傑選手(ナイキ・オレゴンプロジェクト)らが海外のレースでタイムを狙う選択を取るが、井上選手がアジア大会を選んだ動機は?

井上 記録を狙うために気温のいいレースを経験しても強さは身につかないというのが自分とチームの考えです。記録を狙うレースも今後あるかもしれませんが、どんな条件下でも対応できるようにしていきたいというのが自分の考えです。

――2度目の日本代表だが、ロンドンでの世界陸上と今回の違いは?

井上 1回(代表を)経験して、周りから見たら緊張して固まっているように見えたり、浮き足立っていたなというのがありました。そういった経験を踏まえて今回臨めるので、もちろん代表としてしっかりやるというのはありますが、気持ちの面では落ち着いて挑むことができるかなと思っています。

――東京五輪にむけて今回の大会の位置付けは?

井上 東京五輪と似た環境で経験できますが、今回の走りが東京のための練習ということはありません。東京までの一本一本のレースを、大事に全力で取り組んでいくという気持ちがあります。

――現在はどのような暑熱対策を考えているか 

井上 基本的な水分の取り方であったり、直射日光の対策を考えていますが、今までやってきたことをもうひとつ上の段階にし、暑さへの耐性をつけたい。暑いからといって構えるのではなく、毎年やってきたことをひとつひとつ確実にやっていこうと思います。

――具体的な目標は?

井上 やるからには、アジアで金メダルを取りたい。「あまり言い過ぎるなよ」というのはあるかもしれませんが(笑)プレッシャーはかかると思いますが、その中で実行できれば、さらに自分を強くするきっかけが作れるかなと。相手がどんな選手でも自分の走りで金メダルを狙っていきたいです。
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