【WRESTLE-1】武藤の“ラストムーンサルト”に聖地熱狂 メインでは征矢が芦野の長期政権に終止符

高木裕美

征矢は激勝で「オレの中の時計の針が動き出した」

征矢学が芦野祥太郎の長期政権にピリオド 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 メインイベントのWRESTLE-1チャンピオンシップ選手権試合では、征矢学が芦野祥太郎の長期政権にピリオドを打ち、16年1月以来、約2年2カ月ぶりの王座返り咲きを果たした。

 両者は2年前の16年7.1後楽園大会での「WRESTLE-1 GRAND PRIX 2016」準決勝戦での対戦が組まれていたが、芦野が前日の練習中に右ヒザのじん帯を損傷。立つことすらままならない芦野に対し、征矢は容赦なく襲い掛かり、わずか27秒、 セコンドのタオル投入により征矢のTKO勝利となった。優勝した征矢は、同年8.11横浜文化体育館大会のメインで同王座に挑戦する権利を獲得するも、直前に自身が右肩を負傷。断腸の思いで欠場となった。それ以来、「自分の中で時計が止まってしまった」という征矢。その後、芦野が17年3.20後楽園で同王座を戴冠すると、同年5.4後楽園では、征矢が挑戦者として芦野に挑んだが、アンクルロックで敗れていた。

 今回、征矢の約10カ月ぶりの王座挑戦が決まると、芦野らは「ワイルド」な征矢のトレードマークであるアゴヒゲ、長髪を次々と断髪。征矢は丸坊主姿で今回の一戦に臨むこととなった。

 芦野は征矢が爆弾を抱える右ヒジに鉄柱攻撃、エルボー、ニードロップ。さらにエルボースマッシュを連続でたたき込むと、征矢は強烈な頭突きで反撃。芦野はヒザから崩れ落ちながらも、カウンターの張り手で逆襲し、アンクルホールドで捕獲。しかし、征矢も芦野の顔面をコーナーに打ちつけて、雪崩式ブレーンバスターで投げると、さらにスピアー、デスバレーボム、パッケージドライバー。だが、エルボーのサポーターを投げ捨ててのワイルドボンバーは芦野に切り返され、アームロック、アームブリーカーのエジキに。征矢はマットに転がってもん絶する。なおも芦野はアンクルホールド、腕ひしぎ逆十字固めとたたみかけるが、征矢はこれを持ち上げて返してみせる。再三のピンチに、征矢のセコンドのAKIRAが思わずタオルを振り上げそうになる中、征矢が起死回生のワイルドボンバーを炸裂。これはカウント2で返されるも、征矢は自らの頭をコーナーに何度も打ちつけて気合いを入れ、渾身のワイルドボンバーで芦野を1回転させ、勝利をつかみ取った。

 これまで1年間にわたり、7度も防衛を続けてきた芦野からの王座奪取に、観客も大興奮。征矢は「オレより全然若い、プロレスの才能も素質もあるチャンピオンだけど、それでもオレはこのベルトが欲しかった」と腰に巻いたベルトに手を当てると、「これでようやく、オレの中の時計の針が動き出したぞ!」と巻き返しを宣言。まずはその一歩として、「オレとAKIRAさんでタッグのベルトに挑戦したい」と、現在、土肥孝司&熊ゴロー組が保持するWRESTLE-1タッグチャンピオンシップ王座への挑戦をアピール。最後は観客と共に「ワイルドに」「行こうぜ!」のかけ合いで大会を締めくくった。

新星アレハンドロがクルーザートーナメント優勝

新星アレハンドロがトーナメント制覇。クルーザークルーザーディビジョン王者・吉岡世起と向かい合う 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 クルーザー級8選手によるトーナメント「WRESTLE-1 CRUISER FES 2018」決勝戦では、新星アレハンドロがアンディ・ウーとのマスクマン対決を制し優勝。アレハンドロにはWRESTLE-1クルーザーディビジョン王者・吉岡世起へのタイトル挑戦権が与えられた。

 アレハンドロは1.8後楽園に突如出没し、今回のトーナメントにエントリー。小さな体ながら、スピードを生かした攻撃で、順調にトーナメントを突破。一方、アンディは13年のWRESTLE-1旗揚げ直後からレギュラー参戦しており、これまで第2代、第8代、第10代と3度、クルーザー王座を戴冠している。

 アンディはミサイルキック、雪崩式リバースフランケンシュタイナーといった大技も繰り出すと、ドラゴンスープレックス2連発から顔面蹴りをたたき込むが、アレハンドロもリバースフランケンシュタイナー、トラースキックで反撃し、エソ・エソドトでフィニッシュ。試合後、ベルトを肩にかけた吉岡が現れると、アレハンドロもベルトを腰に巻くポーズで王座奪取を訴えた。

東京愚連隊が6人タッグ王座を戴冠

東京愚連隊の3人がUWA世界6人タッグ王座戴冠 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 UWA世界6人タッグ選手権試合では、NOSAWA論外&MAZADA&FUJITAの東京愚連隊が、土肥孝司&熊ゴロー&伊藤貴則組を破り、新王者組となった。

 これまで4度の防衛に成功している王者組は、圧倒的な体格差にモノを言わせたパワーファイトを展開。しかし、MAZADAが熊ゴローに背後から蹴りを見舞うと、NOSAWA&MAZADAが連係の顔面蹴り&合体の鉄柱急所攻撃。これに対し、土肥もたった1人で3人にタックル、ボディースラム、ラリアットを連発するなど奮闘するも、挑戦者組の勢いは止まらず、NOSAWA&MAZADAが伊藤に合体フェースバスターを放ったところへFUJITAがダイビングボディープレス。さらに、NOSAWAがコーナーに上がった熊ゴローを場外へ突き落とし、土肥のラリアットが伊藤に誤爆。この絶好のチャンスに、FUJITAが伊藤のランニングキックを耐え、すかさず回転エビ固めで丸め込んで3カウントを奪い取った。

 長年の絆で結ばれた東京愚連隊は、王座奪取など当たり前とばかりに、MAZADAは「余裕だよ。誰か獲れるヤツ、いるんですかね」と高笑いを浮かべると、NOSAWAも「いつ何時、誰の挑戦でも受けるよ」と言い放った。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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