レベルの差が浮き彫りとなった首位決戦 ラ・リーガは再びバルサの独走状態に

カンプノウでの敗戦を“教訓”にできるか

カンプノウでの一戦は、アトレティコ・マドリーにとって、より高みを目指すための良い“教訓”となるだろうか 【写真:ロイター/アフロ】

 アトレティコ・マドリー戦の勝利で2季ぶりのリーグタイトルをほぼ手中に収めたバルセロナだが、いまだに攻撃面の重要な課題を解決することはできていない。チャンスメーカーとフィニッシャーの二役を1人でこなしてしまうメッシのおかげで高い得点力を維持しているとはいえ、スアレスが孤立しがちな前線はもう1人FWを必要としている。

 メッシは中盤まで降りて攻撃の組み立てに関わることが多く、コウチーニョも中盤からペナルティーエリア手前までが主なプレーエリアであるため、前線でディフェンスラインの注意を引きつける選手はスアレス1人しかいなくなってしまう。圧倒的にボールを支配しながら、それほど多くのゴールを決めることができていないのはそのためだ。

 インサイドMFやサイドバックが2列目からゴール前に走り込む攻撃の形は効果的ではあるものの、今のチームにはメッシ以外にドリブルで局面を打開できる選手がいない。破格の移籍金を払って獲得したウスマン・デンベレにはその役割が期待されていたが、まだ彼はチームにも新たな環境にも順応することができていない。

 アトレティコ・マドリーは今季のラ・リーガでも準主役級の存在感を発揮してきた。だがトップレベルのライバルを直接破るためには、より大胆に勝利を奪いにいく姿勢が必要とされている。そのために、クラブはベースとなる堅守を維持しつつ、多額の資金を投じて大型補強を敢行しているのだ。

 逆転優勝の可能性が低くなったカンプノウでの敗戦は、シメオネとアトレティコ・マドリーがさらなる高みへ挑んでいく上で、良い“教訓”となるかもしれない。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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