レベルの差が浮き彫りとなった首位決戦 ラ・リーガは再びバルサの独走状態に
両チームが見せた対照的なプレー
先週末に行われた首位決戦で、バルセロナはアトレティコ・マドリーに1−0で勝利した 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
その数字を見るだけでも、残る11節での逆転は難しいと考えるのが自然だろう。しかも両チームがこの試合で見せたプレー内容は、その可能性がごくわずかなものだと感じさせるものだった。
試合のデータを見ただけならば、両チームともある程度はこの結果に納得できたかもしれない。バルセロナにとってこの勝利は、ゲームの主導権を握り続けた末の然るべき結果だ。ラ・リーガの独走状況も、彼らの優位性を物語っている。一方、敗れたアトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督も、リオネル・メッシが3試合連続で決めた直接FKが勝敗を分ける唯一の差だったと弁解することができた。
しかし、両チームがピッチ上で見せたプレー内容は対照的なものだった。バルセロナのエルネスト・バルベルデ監督はフィリペ・コウチーニョを中盤右サイドに起用。彼が攻撃時に前線のメッシ、ルイス・スアレスをサポートするベストのメンバー構成で臨み、いつも通りのポゼッションスタイルを貫いた。
一方、アトレティコ・マドリーのプレーレベルは過去数年のレベルとは程遠いものだった。ジエゴ・コスタとアントワーヌ・グリーズマンを前線に擁しているにもかかわらず、ボールをハーフラインより先に運ぶことすらままならなかった。
この数週間、アトレティコ・マドリーはラ・リーガの大半のチームを相手に大勝を繰り返してきた。それはヨーロッパリーグも同じだ。だがグループリーグ敗退に終わった今季のチャンピオンズリーグ(CL)と同じく、カンプノウでの一戦ではバルセロナほどの強豪との対戦が全くの別物であることを証明したと言える。
主力を欠く中でも安定感を維持したバルサ
アトレティコ・マドリー戦ではイニエスタの負傷交代もあったが、バルセロナはこれまでと同様のゲーム支配力を見せた 【写真:ロイター/アフロ】
だがグループ3位にとどまったCLに続き、今回もアトレティコ・マドリーは強豪相手の大一番に求められるプレーレベルに達することができなかった。
対照的に、これまでバルセロナは主力選手のいずれかを欠く試合が多い中でも、極めて安定したプレーを維持してきた。アトレティコ・マドリー戦でもアンドレス・イニエスタが負傷退場し、いまだチームのプレースタイルになじめていないアンドレ・ゴメスを代役として投入しながら、同様のゲーム支配力を見せた。
アトレティコ・マドリー戦のバルセロナは人々の記憶に残るような試合をしたわけではない。多くのゴールチャンスを作り出したわけでもなく、先述した通り唯一のゴールはセットプレーから生まれたものだった。
ラ・リーガ最少失点に抑えているアトレティコ・マドリーの堅守は伊達(だて)ではない。バルセロナは試合を通してボールを支配しながらも、ペナルティーエリア内まで攻め込むのに苦労していた。スアレスも同郷のディエゴ・ゴディンとホセ・マリア・ヒメネスにうまく押さえ込まれていた。
それでも両チームのプレーレベルには明らかな差があった。ピッチ上のあらゆるエリアで優位性を保っていたバルセロナに対し、アトレティコ・マドリーは攻撃面でほとんど脅威を与えることができなかった。