「プッシュアウト」改善に必要な「ウッ」 力を入れるタイミングの身に付け方
ロリー・マキロイのスイングから、プッシュアウト改善の秘訣が見えてくる 【Getty Images】
体重移動を意識しすぎ?
プッシュアウトはプロの試合でもよく見かけるミスだ。
最近ではPGAツアーに復帰したタイガー・ウッズ(米国)が、ティショットで何度かプッシュアウトを見せて調整の遅れを指摘されている。プッシュアウトの原因は、プロもアマチュアも“タイミング”にある。
特にアマチュアは体重移動を意識するあまり、下半身が目標方向にスライドしてしまい、クラブが振り遅れとなりインパクトでフェースが戻り切らず開いて当たってしまうケースが多い。そして体重を左側に移そうと意識する人は、切り返しの一点で力を入れるのではなく、ダウンスイング中にずっと力を入れている人がほとんどだ。
力を入れるポイントは「線」ではなく「点」
バケツでたくさんの水を遠くにまく事を想像してみてほしい。
バケツを揺らすように勢いをつけ、切り返しのタイミングで「うっ!」と力を入れて勢いをつけるはずだ。こんなことを考えながらバケツで水をまいている人はいないだろうが、そうする事がもっとも効率よくバケツの水を遠くにまく方法である。
切り返しからバケツの水が飛び出す(つまりインパクト)までずっと力を入れ続けてしまっては、バケツの水は遠くに飛んでいかない。
おそらくPGAツアーで最も遠くにバケツの水をまくことができるのは、2017年に平均飛距離317.2ヤードでドライビングディスタンス1位に輝いたロリー・マキロイ(北アイルランド)だろう。ダウンスイングで下半身を深く沈みこませる動きで地面を押し、その反力を利用してクラブを加速させている。
この動きを掛け声にすると、「うりゃー」でも「うぉー」でもなく、「うっ!」だ。長い時間力を入れ続けるのではなく、一瞬だけアクセルを踏み、あとは惰性に任せてバケツ(クラブ)を動かす。
難しい話になるので省略するが、切り返して一瞬力を入れて振り下ろされたクラブは、遠心力や慣性の力など様々な要素が加わり加速していく。つまりインパクトまで力を入れ続けなくても、最初の動き出しさえ助けてあげれば、クラブは勝手に動いてくれる。クラブを信じてみよう。
1点注意したいのは力を入れるポイントはインパクトではなく、切り返しという点だ。インパクトで力を入れるとタイミングが遅すぎるし、何より力みにつながり、他のミスを誘発する。クラブを動かすために切り返しで力を入れる、という事を覚えておいてほしい。
日常生活の中ではバケツで水をまくシーンには遭遇しないと思うので、今日の風呂掃除を引き受けてみて、風呂場で壁に向かって水をまいてみよう。プッシュアウトは無くなりお風呂もきれいに、一石二鳥だ。
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