【ボクシング】KO率97%王者と“キングコング”が激突 ワイルダーとオルティスがNY決戦!

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WBC世界ヘビー級王者ワイルダーの7度目の防衛戦は、“キングコング”ルイス・オルティスと激突する 【(C)NAOKI FUKUDA】

 39戦全勝(38KO)、97パーセントのKO率を誇るプロボクシングのWBC世界ヘビー級王者、デオンテイ・ワイルダー(32=米国)の7度目の防衛戦が現地時間3日(日本時間4日)、米国のニューヨークで行われる。今回の挑戦者は元WBA暫定王者で現WBC3位、“キングコング”の異名を持つルイス・オルティス(38=キューバ)。こちらも30戦28勝(24KO)2無効試合とプロで負けたことがない実力者だ。201センチの長身から打ち抜くワイルダーの右ストレートが炸裂するのか、それとも強打とスキルを兼ね備えるサウスポーのオルティスが戴冠を果たすのか。ハードパンチャー同士の激突だけにKO決着は間違いない。

“仮想”ワイルダーを2回で粉砕の挑戦者

オルティスは“仮想”ワイルダーとなる相手を2回KO勝ちで倒している 【(C)NAOKI FUKUDA】

 両者の対戦はワイルダーが世界王座についた15年1月以降、何度か組まれそうになったが、すれ違いが続いてきた。実際に昨年11月4日には対戦することが決まっていたが、オルティスのドーピング違反が発覚したためキャンセルになった経緯がある。その後、WBCが「血圧を下げる薬を服用したためだと思う」というオルティス側の主張に耳を傾ける形となり、重い処分を科すことなく現在に至っている。

 この間、ワイルダーは11月4日に前王者のバーメイン・スティバーン(ハイチ)を相手に6度目の防衛戦を行い、1回KO勝ちでクリア。鮮やかな右ストレートで先制のダウンを奪い、連打で2度のダウンを追加して仕留めるという圧勝だった。これで6連続KO防衛だ。

 その1カ月後、オルティスもリングに上がり、二線級を相手に2回KO勝ちを収めた。もともと力の差がはっきりしているカードだったが、相手が202センチの長身選手だった点がミソだ。

 オルティスは初回にダウンを奪い、2回にはカウンターの左ストレートを見舞ってフィニッシュした。まるでワイルダー戦をイメージしたような戦いぶりだった。この試合、ワイルダーはテレビ解説を兼ねてリングサイドで観戦したが、試合が終わるとリングに上がってオルティスを挑発。英語でまくし立てるワイルダーに対し、スペイン語圏で生まれ育ったオルティスは少々戸惑った様子だった。

 こうした紆余(うよ)曲折をへて今回の大一番は実現することになったわけだ。今年10月に33歳になるワイルダーは「試合が3月3日だし、今年はなにかと“3”に縁がある。だから試合も3ラウンドぐらいで終わる。もっと早いかもしれない」と強気だ。これに対しオルティスは「ヤツはお喋りが過ぎる。騒音でしかない。私を倒すって? やれるものならやってみればいい。キャンバスにはいつくばるのは彼の方だよ。これまで彼が戦ってきた相手と一緒にしないでほしい。私は本当の戦士なんだから」と応戦している。

オッズは5対2で王者有利だが……

 2008年北京五輪ヘビー級銅メダリストでプロ転向後は32連続KO勝ちを記録したこともあるワイルダーと、事実上のKO勝ちともいえる無効試合を有効と仮定してカウントするとKO率が87パーセントになるオルティス。これぞヘビー級というカードだ。

 数字が物語るように、ともに最重量級を代表するハードパンチャーだが、戦闘スタイルは異なる。ワイルダーは右の一撃で倒してしまうこともあれば、それを突破口にして一気に連打で攻め落としてしまうこともある。そうかと思えば長身と恵まれたリーチを生かして相手の射程外にいながらコントロールすることもできる。単なるラフなパンチャーというわけではなく、それなりに引き出しの数は持っているといえる。

 一方のオルティスは10歳のときにボクシングを始め、アマチュアの選手層が厚いキューバで368戦(349勝19敗)をこなしてきただけあってテクニックの面にも長けた器用な強打者だ。決め手は左ストレートだが、至近距離でアッパーを突き上げることもある。身長はワイルダーよりも8センチ低い193センチだが、リーチは逆に2センチ長い213センチもある。こんな点にも「キングコング」らしさがあるのかもしれない。

 2月下旬時点のオッズは5対2でワイルダー有利と出ている。左ジャブで挑戦者を煽り、機をみて右ストレートをたたき込んでKO勝ち、というのがワイルダー勝利の方程式といえる。多くの人はその可能性が高いと見ているわけだ。一方のオルティスは相手のラフなパンチをかい潜って左ストレートをカウンターで当てて倒すのが理想形といえよう。

 注目すべきはオルティスがサウスポーである点だ。13年以降、ワイルダーはサウスポーと2度対戦して2度ともKO(TKO)で勝っているが、9回KO勝ちを収めたV3戦(対アルツール・スピルカ)は距離やタイミングが合わずに空回りすることが多かった。その試合を見る限り、決してサウスポーが得意なわけではなさそうなのだ。雑な攻撃を繰り返してスキをみせるようだとオルティスにつけ込まれる危険性も十分にある。

 いずれにしてもジャッジ不要の試合になることは間違いない。ワイルダーが39戦のうち29試合、オルティスも30戦のうち14試合を3ラウンド以内に終わらせており、早い決着も考えられる。見る側も、何が起こっても驚かない気持ちの準備をして観戦する必要がある。

 Written by ボクシングライター原功
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