「痛いタイミング」だった吉田の負傷離脱 レギュラー奪還ならず、降格の危機も迫る

田嶋コウスケ

先発復帰のチャンス目前で再離脱

吉田がけがをしたのは先発復帰を控えたウェスト・ブロムウィッチ戦の前日トレーニングだった 【写真:ロイター/アフロ】

 こうした負のイメージが、指揮官の頭の中に残っていたのかもしれない。あるいは、失点を重ねているチームに、何かしらのテコ入れが必要だと感じたのだろうか。

 吉田が第23〜24節をハムストリングのけがで欠場すると、けがから復帰後はベンチスタートを命じられた。もちろん、けがの影響でコンディションが万全でなかった事情はあるが、不動のレギュラーのように直ちにスタメンに復帰することはなかった。

 代わりに入ったのは、オランダ代表DFのウェスレイ・フート。守備の柱だったフィルジル・ファン・ダイクが1月の移籍市場でリバプールに移籍し、日本代表の吉田とイングランドU−21代表歴のあるジャック・スティーブンスの3人でセンターバック(CB)のポジションを争っている。ペジェグリーノ監督は「フート&スティーブンス」のCBコンビで3試合を戦った。この間、吉田はベンチスタートで出番なし。吉田の立ち位置が揺らいだが、本人は「やるべきことをしっかりやって、チャンスが来るのを待ちたい。また良いパフォーマンスをして、スタメンに戻れるように頑張ります」と現状を前向きに捉え、ポジション再奪取に向けて決意を固めていた。

 そんな吉田に約1カ月半ぶりとなる先発のチャンスが回ってきそうだったのが、ウェスト・ブロムウィッチとのFAカップ5回戦だったのだ。

 けがから復帰した吉田のコンディションが上向いてきたこともあるが、ウェスト・ブロムウィッチ戦の1週間前に行われたリバプール戦でフートが敵の縦パスを空振りし、失点直結の致命的なミスを犯していたからだ。

 チームも0−2で完敗していただけに、このウェスト・ブロムウィッチ戦で選手の入れ替えを行い、吉田が1月6日のFAカップ3回戦・フルハム戦以来となる先発に復帰する公算が大きかった。しかし、試合前日の練習で左ひざを負傷。タイミングの点から言っても、今回の5週間離脱は痛かった。

吉田「さらにパワーアップして帰ってきたい」

復帰後は、降格の危機に瀕しているチームを救う働きが期待される 【写真:ロイター/アフロ】

 チームが低空飛行を続けているのに加え、CBのフートが依然として不安定な守備を繰り返している現状を踏まえれば、サウサプトンにとって日本代表DF離脱の穴は大きい。復帰後は、降格の危機に瀕しているチームを救わなければならない。そして、その先には日本代表の守備の要として出場するW杯も控えている。吉田は力を込めて言う。

「サウサンプトンで試合に出続けて、良い状態でW杯を迎えたい。日本代表としては、W杯で結果を出したい。イングランドでは引き続き、『日本人やアジア人として』というより、『イングランド・プレミアリーグのCBとして結果を出せるように』ということを意識しています。チームとしては、早く今の状況から抜け出して、良い状況に軌道修正したい。

『W杯に向けて』という意味でも、イングランドで毎試合、戦えるのが自分のレベルアップに一番つながると思っています。大事なのは試合に出続けること。そして、良いコンディションを保つこと。もちろん、勝つことも大事です。今のチーム状況のなかで、自分のパフォーマンスやコンディションが悪い方向に引っ張られないようにしなきゃいけないと思っています」

 膝を痛めた後、自身のブログで「さらにパワーアップして帰ってきたい」とつづった吉田。その言葉通り、復帰後はサウサンプトン、そして日本代表の柱として、立ち止まってなどいられない。

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著者プロフィール

1976年生まれ。埼玉県さいたま市出身。2001年より英国ロンドン在住。サッカー誌を中心に執筆と翻訳に精を出す。遅ればせながら、インスタグラムを開始

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