「痛いタイミング」だった吉田の負傷離脱 レギュラー奪還ならず、降格の危機も迫る
左ひざを痛め、約5週間の離脱
吉田麻也が左ひざを負傷。チーム、代表、そして本人にとっても痛い離脱となった 【写真:ロイター/アフロ】
ウェスト・ブロムウィッチとのFAカップ5回戦(現地時間2月17日)の前日トレーニングで、アルゼンチン人FWのギド・カリージョと激しく接触。吉田は左ひざをひねって痛め、試合メンバーから外れた。精密検査後、2月22日に行われた定例会見でマウリシオ・ペジェグリーノ監督が「5週間ほど離脱する」と明らかにした。
今後の日程から考えると、戦列復帰は3月31日に行われるウエストハム戦の可能性が高く、日本代表が行う3月23日のマリ戦、同27日のウクライナ戦を欠場することになりそうだ。プレミアリーグで降格圏付近に沈むサウサンプトン、6月のワールドカップ(W杯)本大会の前に最終強化を図りたい日本代表、そして、吉田にとっても痛い負傷離脱となった。
チームは12月から急降下、降格圏が近づく
不振の引き金になったのは、極度の得点力不足である。ボールをつなげど、ゴールにつながらない。あるいは、チャンスを作っても、シュートが枠に飛ばない。FW陣がそろって不振で、イタリア代表FWのマノロ・ガッビアディーニは自信を失い、ゴール前でまったく怖さを見せられなくなった。しかも、イングランド人FWのチャーリー・オースティンも慢性的なけがに苦しみ、医務室が定位置という体たらく。1月の移籍市場で加わったFWカリージョも6試合に出場して無得点で、救世主にはなっていない。
吉田は、先制しながら逆転負け(1−2)を喫した第22節のクリスタルパレス戦後、チームの現状を次のように嘆いていた。
「(チームとして)2点目が取れないというのが一番の問題。もちろん、敗戦を攻撃陣のせいにしているわけではないけれど、そういう状況が続いている。そして、点を取れない時間帯が長く続き、何となく流れを相手に持っていかれてしまう」
吉田が失点に関与するシーンも目立つ
年末にかけて吉田が失点に関与するシーンが目立った 【写真:アフロ】
象徴的だったのが、0−2で敗れた第27節のリバプール戦(2月11日)。先制ゴールを許した場面で、フィールドプレーヤー6人が敵陣のペナルティーエリア付近まで侵入するというリスクの高い攻撃を仕掛けた。しかし、リバプールのカウンターの餌食となり、やすやすと失点。昨シーズンは堅守速攻を武器にリーグカップ決勝まで勝ち進んだサウサンプトンだが、ペジェグリーノ監督が指揮を執る今シーズンは、攻守のバランスが著しく悪化している。
こうしたチームの不振に引きずられるように、吉田が失点に関与するシーンが特に年末にかけて目立った。
第19節のハダースフィールド戦(12月23日)では、マークしていたFWローラン・ドゥポワトルを完全に離してしまい、フリーでヘディングシュートを許して失点。英メディア『スカイスポーツ』にチーム最低点となる5点(10点満点)をつけられると、2−5で大敗した次節トッテナム戦(12月26日)も、イングランド代表FWのハリー・ケインの対応に苦しんだ。この試合でも、英紙『タイムズ』が4点という厳しい評価を吉田につけている。