大一番を前に復活したレアル・マドリー 唯一の目標、CL3連覇に向け一歩近づく
3連覇を目指すレアルは“闘牛”ではなく“マタドール”
選手としてもレアル・マドリーでプレーしたジダンは、PSG戦に懸かっていたものの大きさも、このチームに根付くDNAも熟知していた。恐れず、深く考えすぎることなく、あくまでも攻撃的にプレーする。それだけでレアル・マドリーはPSG相手に2点のリードを手にし、3季連続、通算13冠目のビッグイヤー獲得に向けて歩みを進めることに成功したのである。
PSG戦の数日前、プレドラグ・ミヤトビッチは現在とよく似た1997−98シーズン当時のことを振り返っている。当時のレアル・マドリーも国王杯で早々に敗退し、リーガではバルセロナに差をつけられ、32年間もタイトルから遠ざかっていたCLが残る唯一の目標となっていた。
ミヤトビッチは最終的に「ラ・セプティマ(7冠目)」を獲得した選手たちがCLのタイトルに「飢えていて、また必要としていた」ことを明かした上で、現在のチームについて次のように評価している。
「自分たちの頃とは違い、彼らは全てを勝ち取った。CLも2度勝った上で3連覇を目指している。彼らにはそういった挑戦に対して、自身をモチベートし続ける才能がある」
レアル・マドリーをたたえるべき点は、まさしくそこにある。プレー内容が良いわけではない。良い流れにもなかった。にもかかわらず、チームも監督も、それが生死を分ける決戦であることを理解した上で、なぶり殺される“闘牛”より“マタドール(闘牛士)”になることを望んだのである。
(翻訳:工藤拓)