「下山を決断」したフリーライド白馬大会 カナダでの代替開催で浜が日本人初優勝

後藤陽一

日本人選手の活躍と新しいカテゴリとしての「フリーライド」

 2017年に、日本で初めてフリーライドの国際大会「Freeride Hakuba 2017 FWQ4スター」が開催されてからまだ1年強だが、フリーライドの国際大会での日本人選手の活躍は目覚ましいものがある。

 FWTのピラミッド構造は下図のようになっており、世界で予選(FWQ)とジュニア(FJT)のイベントも合わせると、100大会以上が行われ、4000人以上の選手が登録されているが、その内のトップ5大会、50人しか出場できない「Freeride World Tour」に、すでに3人が出場している。

Freeride World Tourのピラミッド 【freerideworldtour.com】

「Freeride Hakuba 2017 FWQ4スター」で、海外から来日した「Freeride World Tour」のグレードに属するゲスト選手を抑えて優勝し、2017年シーズンからワイルドカードを獲得して世界を転戦している楠泰輔選手は、今シーズンは2大会終了した時点で20位と、残り2戦を含めた成績で上位12位までしか出場できない最終戦のスイス大会への出場は厳しい位置にいるが、そのスムーズな滑りとスタイルで、トップ選手のひとりとして世界に認められる存在となっている。

 1月18日に白馬で、FWTの前哨戦として行われたFWQ3スターでは、海外から出場したランキング上位の選手もいる中、男・女、スキー・スノーボードの4カテゴリのうち3つで日本人が優勝。場所を移して行われたカナダでのイベントに、佐々木悠(男子スキー)、浜和加奈(女子スノーボード)の2名が出場し、前述の通り浜が優勝するという結果を残した。

 またジュニア部門でも、ニセコ出身の17歳の勝野天欄(かつのてんら)が、昨年夏にニュージーランドで行われたFWQに参戦。上位の成績を収め、3月にオーストリアで行われる1800人のジュニア選手の中から上位60人しか出場できない最終戦に飛び級での出場が決まった。

2017シーズンからワイルドカードを獲得して世界を転戦している楠泰輔 【freerideworldtour.com】

 楠はもともとモーグルでワールドカップで出場した選手、浜はスノーボードクロスの選手である。2010年バンクーバー五輪で日本代表になった國母和宏も、FWTには出場していないが、今はフリーライドの世界で世界的なスターであり、平昌五輪に出場しているスキーヤー、スノーボーダーでも、練習の合間にフリーライドやバックカントリーを楽しんでいる選手がたくさんいる。

 勝野に聞くと、いま彼が拠点にしているニセコでは「10代のスキーヤーはみんな、モーグルも、アルペンも、フリーライドも、全部やっている」という。

 ウインタースポーツはいま過渡期を迎えている。その大きな変化の中心にある要素の一つに、スキーヤーもスノーボーダーも、アルペンレーサーも、そしてハーフパイプの選手も、みんな一緒にありのままの自然を使って、遊び、競うことができる「フリーライド」があるのは間違いない。すでに海外では10代・20代を中心に顕在化しているフリーライドのムーブメントが、日本でも近い将来、大きな流れになっていくかも知れない。

(文中敬称略)

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著者プロフィール

FWTジャパン株式会社 マネージングディレクター /アジア事業統括責任者

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