国内コース休止で苦難の日本スケルトン 第一人者・高橋が懸念する若手への影響

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競技の今後には「不安がたくさん」

日本スケルトンの第一人者として五輪に出場した高橋弘篤 【写真は共同】

 そり競技における国内唯一の国際大会公認コース「スパイラル(長野市ボブスレー・リュージュパーク)」が休止前最後の運営を終えてから11日目。財政難から“ホームグラウンド”を失った日本選手が16日、平昌五輪男子スケルトンに出場し、高橋弘篤(フリー)は22位、宮嶋克幸(仙台大)は26位でメダルが決まる4回目に進めず大会を終えた。

 33歳の高橋は2回目の五輪を終え「ここまで支えてくれた越(和宏)さんと、ここにも来てくださっているトレーナーの方、家族に感謝したい」と涙。今後については「正直分からないです」と明言しなかった。

 長く日本のスケルトン界を第一人者として引っ張り、今季もW杯総合成績で18位と日本人最上位につける高橋。「宮嶋や彼に続く若い選手たちは、この先本当に不安がたくさんあると思います」と競技の今後を思いやった。

期待の宮嶋も「好循環が起きれば」

声援に手を振る高橋。「スパイラル」の休止について、若手への影響を思いやった 【写真は共同】

 高橋から名指しされた宮嶋は22歳。1月の世界ジュニア選手権で5位に入るなど、日本の次代を担う若手として期待されている。「次の世代は自分しかいないので、どんどん引っ張って次に続く人を出したい。そこで戦ってさらに強くなって、という循環が起きれば。そのためにも自分が成長したいですね」と本人の自覚も十分だ。

 それだけにスパイラル休止で予想される困難には表情を曇らせる。自身の競技力については「大学に入ってから基本的に海外遠征に行かせてもらっていて、長野より海外で滑る機会の方が多かったので、海外で滑ることで技術は磨ける」と語ったが、宮嶋が懸念するのはより若い世代への影響だ。

「ホームトラックがなくなるということは、自分など海外遠征に来ているメンバーはいいですけど、その下のこれから始める人にいきなり『海外行って』となってしまうので、競技の普及、発展には厳しくなると思います」

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