国内コース休止で苦難の日本スケルトン 第一人者・高橋が懸念する若手への影響
韓国は強化策が実り金メダル獲得
金メダルを獲得したのは地元韓国のユン・ソンビン。同種目ではアジア人初のメダルとなった 【写真は共同】
以前は韓国でもスケルトンは人気競技とは言い難い状況だったが、両選手の躍進で注目度が急上昇中。この日も定員1000人の「アルペンシア・スライディングセンター」ゴール地点には立ち見の観客が出るほどで、金メダルの瞬間は地鳴りのような歓声に包まれた。
屈強な肉体を誇るスケルトン選手は女性にも大人気だ。なんとかその姿を写真に収めようと、移動する選手に合わせてスマホ片手の女性も集団で追う。金メダルを獲得したユンのファンだという韓国人の女子大学生は、「これからはCMとかにもいっぱい出そうですね」と、その人気ぶりを教えてくれた。
絶好調の韓国スケルトン界。「今回の結果は次の世代への後押しにもなると思う」と語るのは6位入賞のキムだ。スパイラル休止のニュースは韓国にも届いているようで、競技の継続的な発展のために「日中韓などでアジア大会を行ったりして、活性化していくことが何より重要でしょう」と私案を披露した。
第一人者の涙を次世代へ
1月の世界ジュニア選手権で5位に入るなど今後の活躍が期待される宮嶋 【写真は共同】
「いろいろなアイデアは僕も提案させてもらっていますけど、連盟などの方々も当然持っていると思います。ただ、まずは何をするにしても意識統一。どこを目指すのか、どのような協会にしていくのか、どういう選手を育てるかという明確な目標を立てて、そのために何をしていくのか。若い選手の不安を解消するためにも、単純ですけどそういう組織体制を作っていかないと」
日本スケルトン界のあり方について、第一人者としてあふれる思い。最後に「僕は選手ですからとにかく結果を出して、環境がこう変われば結果はもっとこうなります、ということを訴えていきたかった。五輪はそのための絶好の機会だった」と唇をかんだ。高橋が思わず流した無念の涙は、次世代に引き継がれる。
(取材・文:藤田大豪/スポーツナビ)