2018年のテーマは「プロフェッショナル」 FC今治があえて日本一を目指す理由
「日本一」という目標の背景にある危機感
自己紹介をする新加入選手たち。元Jリーガーは太田康介(前金沢/中央)のみ 【宇都宮徹壱】
派手で目を引くような発表が乏しい一方で、経営と現場では「日本一」という目標を掲げている。それが意味するところは何かといえば、現体制となって4シーズン目で迎える強い危機感であり、その直接的な要因が「J3に昇格できなかったこと」であるのは間違いないだろう。状況としては、四国リーグで足踏みをすることになった2年前に少し似ている。ただし、あの時はリスタートして2年目で、パートナー企業も「3年間は共感して応援する」(岡田オーナー)というスタンスであった。逆に言えば、共感のリミットは3年。ゆえに2年目と4年目とでは、危機感の度合いがまるで異なるのも当然である。
経営面で「日本一のスタジアム集客率を目指す」のも、現場が「JFLで日本一を目指す」のも、それぞれの危機感の表れのように感じられる。そんな中、最も危機感を抱いているであろうオーナーは「自分が走ると『岡田が何とかしてくれる』と思われるようなので、4年目は走らないでおこうかなと。そしたら、みんなが走り出すんじゃないかと思います」とコメント。実際、今季の編成については一切タッチしておらず、「今年は(現場は)任せようと思う」とも語っている。
1年目は「クラブの顔」として積極的にメディアに露出し、2年目はCMO(チーフ・メソッド・オフィサー)として吉武監督と並んでベンチに座り、3年目は夢スタを満員にすることに心を砕いてきた岡田オーナー。4年目の今年は、運営会社をよりプロフェッショナルな組織にし、スポンサー価値を高めていくことで、4期連続の黒字を目指していくことを自らのミッションに定めているようだ。オーナーが後方支援に徹するとなれば、周りは本気で走り回らなければなるまい。そして「日本一」という厳しめの目標を掲げたからには、ぜひともそれらを達成してほしい。その先には、自ずとJ3への道が拓かれるはずだ。