早実・野村をプロスカウトはどう見る? 怪物を追うスラッガーの気になる進路

週刊ベースボールONLINE

2年秋の新チームから主将。1学年上の清宮から戦う姿勢を学び、ベンチでも先頭に立つ 【写真=矢野寿明】

 2018年でキャリア41年目の広島・苑田聡彦スカウト統括部長は、あの怪物と比較し、早稲田実・野村大樹の打撃を絶賛する。

「1年生のときからビックリした! 専門家(プロ)が見ても惚れ惚れとする、自分のポイントを持っている。体勢が崩されても、当てにいくのではなく、下半身の粘りで振れる。タイミングを取るうまさは清宮(幸太郎/北海道日本ハム)よりも上。穴がない。大学、社会人、プロとどこへ進むにしても、打率は残すでしょう」

 高校通算51本塁打。右、左へもスタンドインできる右の強打者である。1年夏から3番・清宮の後を打つ不動の4番・サード。2年春のセンバツ出場後、同春の関東大会からはチーム事情により、中学時代(大阪福島シニア)に守っていた捕手に転向となった。新チームでは主将(3番)に就任。同秋は東京都大会3回戦敗退を喫し、最後の夏に照準を合わせる。

 ドラフト候補として意見が分かれるのが、野村のポジションである。広島・苑田スカウト統括部長は「スローイングもいい。どこでも守れる。他球団の評価も高いのでは……」と、捕手、サードでの適性に太鼓判を押すが、一部のプロ関係者からは「サードに専念したほうがよい」との声もある。

昨年10月26日のドラフトでは日本ハムから1位指名を受けた清宮を、野村は騎馬で支えた 【写真=高原由佳】

 昨年10月26日のドラフト会議。清宮はドラフト1位で高校生最多タイ7球団競合の末、日本ハムが交渉権を獲得した。記者会見場となった早実・小室哲哉記念ホール内では、後輩・野村が軸となって102キロの先輩を騎馬で担いだ。晴れ姿を目の当たりにし、何を思ったか……。

 日本ハム・大渕隆スカウト部長は「図抜けた能力。勝負強さもある」と、打撃面で高い評価を下すものの、系列校の先輩としての“親心”も見せる。大渕スカウト部長は早稲田大OB。早実は早大の系属校で、大学野球部の先輩である和泉実監督とも親交が深い。だからこそ、進路には慎重なのだ。

「本人がどういう希望を持っているか……。清宮の背中を見て、そういう気持ち(プロ志望)になるかもしれない。ただ、普通ならば、大学へ進学したほうがよいかもしれない」

 オリックス・中川隆治アマスカウトグループ長も“進学推進派”だ。

「売りはやはり、打撃です。ガッツがあって、清宮とは違うキャプテンシーもある。清宮選手の影響を、少なからず受けたとは思いますが、守る位置を含めて、確立していない部分がある。昨年、慶応大の岩見雅紀(東北楽天2位)が21本塁打(歴代3位)を打ちましたが、東京六大学記録(慶大・高橋由伸=巨人監督の23本)を塗り替えてほしい気もします。ただ、本人が手を挙げたら(プロ志望届を提出)、興味を示す球団はあるはず。今年も引き続き、視察させてもらいます」

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