【コラム】第17回:日本で海外のオンラインカジノを利用する行為の違法性(その2)
日本で海外のオンラインカジノを利用する行為の違法性(その2)
スポーツエコシステム推進協議会(C-SEP)が、アスリートとアスリートを取り巻く全てのステークホルダーに知ってほしい情報を発信していく本連載、前回は、日本から日本人が海外のオンラインカジノのサイトにアクセスして賭けをすることが合法だという、虚偽の説明をしている事例の1つとして、「アクセス先が合法国のライセンス取得業者だから大丈夫」だという説明が誤っていることを解説しました。
今回は2つめ。「必要的共犯」という法律用語を使った説明について取り上げます。
*今回のコラムは、過去に掲載した内容を一部加筆・修正して掲載しています。
今回は2つめ。「必要的共犯」という法律用語を使った説明について取り上げます。
*今回のコラムは、過去に掲載した内容を一部加筆・修正して掲載しています。
※リンク先は外部サイトの場合があります
まず、必要的共犯とは、「もともと複数人が関与することが予定されている犯罪」のことです。代表的な事例が刑法198条の贈賄罪です。しかし、公務員が何らかの金品を受け取ったとしても、それが公務とは無関係のものだった場合(例えば公務員が家族から誕生日プレゼントを受け取るような場面を想像してください)、それを受け取る行為は刑法で処罰される収賄行為に該当しないので、受け取った公務員は収賄罪に問われず、贈った側も贈賄罪に問われません。
受け取った側に収賄罪が成立しない場合、贈った側にも贈賄罪が成立しない。これが必要的共犯です。
この必要的共犯という概念を持ち出して、「日本から海外の合法事業者のサイトにアクセスしてサービスを利用して賭けを行うことは合法だ」と主張する人は、「賭博は二人以上が関与して初めて成立する必要的共犯だ。オンラインカジノの場合は事業者と利用者が共犯関係に立つが、アクセス先の事業者は海外事業者で、日本の刑法による処罰の対象にならない。必要的共犯の相手方であるカジノ事業者が処罰されない以上、そこへアクセスして賭けを行った日本居住者も賭博罪で処罰されないはずだ」というロジックのつもりなのだと思います。
しかし、必要的共犯は、自分以外の誰かの関与は必要ですが、その「誰か」に犯罪が成立して処罰対象とならなければ成立しないかというと、そんなことはありません。
例えば、刑法175条1項のわいせつ物頒布罪も、わいせつ物を頒布する相手がいなければ、犯罪として成立し得ないため、必要的共犯の典型例であるとされています。しかしながら、刑法は、わいせつ物を頒布する行為は犯罪として処罰の対象としている一方、頒布されたわいせつ物を受け取った者に対しては犯罪は成立せず、処罰されることはありません。
以上のとおり、必要的共犯において共犯者に犯罪が成立したり共犯者が処罰されたりすることは必須ではありません。したがって、日本から海外事業者のサイトにアクセスしてサービスを利用して賭けを行った場合、主催者である海外事業者が日本の刑法で処罰されない場合でも、アクセスをした日本居住者には日本の刑法が適用され、賭博罪で処罰の対象となります。
日本法上、オンラインカジノを利用する行為は、単純賭博罪(刑法185条)として50万円以下の罰金又は科料を科されるほか、(前科の有無にかかわらず)賭博の常習性が認められる場合には常習賭博罪(刑法186条1項)が成立し、罰則も3年以下の懲役と、格段に重くなります。
是非注意をしていただきたいと思います。
受け取った側に収賄罪が成立しない場合、贈った側にも贈賄罪が成立しない。これが必要的共犯です。
この必要的共犯という概念を持ち出して、「日本から海外の合法事業者のサイトにアクセスしてサービスを利用して賭けを行うことは合法だ」と主張する人は、「賭博は二人以上が関与して初めて成立する必要的共犯だ。オンラインカジノの場合は事業者と利用者が共犯関係に立つが、アクセス先の事業者は海外事業者で、日本の刑法による処罰の対象にならない。必要的共犯の相手方であるカジノ事業者が処罰されない以上、そこへアクセスして賭けを行った日本居住者も賭博罪で処罰されないはずだ」というロジックのつもりなのだと思います。
しかし、必要的共犯は、自分以外の誰かの関与は必要ですが、その「誰か」に犯罪が成立して処罰対象とならなければ成立しないかというと、そんなことはありません。
例えば、刑法175条1項のわいせつ物頒布罪も、わいせつ物を頒布する相手がいなければ、犯罪として成立し得ないため、必要的共犯の典型例であるとされています。しかしながら、刑法は、わいせつ物を頒布する行為は犯罪として処罰の対象としている一方、頒布されたわいせつ物を受け取った者に対しては犯罪は成立せず、処罰されることはありません。
以上のとおり、必要的共犯において共犯者に犯罪が成立したり共犯者が処罰されたりすることは必須ではありません。したがって、日本から海外事業者のサイトにアクセスしてサービスを利用して賭けを行った場合、主催者である海外事業者が日本の刑法で処罰されない場合でも、アクセスをした日本居住者には日本の刑法が適用され、賭博罪で処罰の対象となります。
日本法上、オンラインカジノを利用する行為は、単純賭博罪(刑法185条)として50万円以下の罰金又は科料を科されるほか、(前科の有無にかかわらず)賭博の常習性が認められる場合には常習賭博罪(刑法186条1項)が成立し、罰則も3年以下の懲役と、格段に重くなります。
是非注意をしていただきたいと思います。
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