早実・野村をプロスカウトはどう見る? 怪物を追うスラッガーの気になる進路

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野球を続けるために名門・早実へ進学

逆方向への打球が持ち味で、スタンドインできるパワーがある。もちろん、引っ張りも鋭い当たりを飛ばす 【写真=矢野寿明】

 中学時代に侍ジャパンU─15代表では4番を務め、小園海斗(報徳学園高)とも日の丸を背負った。「ミレニアル世代」を代表する選手に成長を遂げているが、高校入学の背景、家庭環境からも進学が有力とみられる。

 兵庫県出身の野村が早実を目指したのは、5歳だった06年夏。斎藤佑樹(現日本ハム)がエースだった早実と駒大苫小牧高の決勝再試合を甲子園で観戦。エンジとWASEDAの胸文字のユニホームにあこがれを持った。

 自宅から約2時間をかけて同志社中へ進学したのは「関学(関西学院中学部)の選択肢もあったんですが、土曜日にも授業があるので、満足に野球ができない」。平日は学業に専念して、週末は大阪福島シニアでプレー。同志社高、同志社大へと進学するのが通常の流れだが、早実志望は不変だった。父・大地さんからも「野球を続けたいなら、早慶へ行け!」と言われていた。文武両道を実践し、推薦入試で東京の名門校へ入学した。

大学進学が既定路線か?

 野村は一人っ子。16年4月の入学以来、母・恵美子さんと都内で暮らし、父・大地さんは単身生活を送る。

「父は宝塚で一人でご飯を作って、寂しい思いをさせている。自分は母が量、栄養面も考えてくれている。家族の協力なしに、野球ができない。活躍しないと、合わせる顔もない」

 昨年のセンバツアンケートの「将来の夢」には「プロ野球選手」と書くと「尊敬する人物」としては、早実のレジェンド・王貞治氏(福岡ソフトバンク球団会長)の名前を挙げた。昨年9月22日、清宮が進路表明会見を開いた後に、野村は「プロ志望届を提出した清宮さんの後ろを打ったのは自信になる。いつかは一緒にやりたい」と、慎重に言葉を選んだ。

 振り返れば、清宮の2学年上の主将で、4番・加藤雅樹(現早大3年)も高校通算47本塁打の左の大砲として注目された。だが、当初から希望していた進学の方針は変えず、昨春は東京六大学で首位打者を獲得。来年はドラフト候補として脚光を浴びるだろう。清宮は歴代1位とされる高校通算111本塁打。怪物はある意味で“突き抜けた感”があった。野村は早実における“既定路線”で落ち着くのが、一般的な流れと言えそうだ。

(取材・文=岡本朋祐)

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