山崎はバドミントン、仕事、そして母親という“３足のわらじ”を履きながら、多忙な日々を送っている。昨年１０月に、それまで働いていた市役所から、活動のサポートを申し出てくれたNTT都市開発株式会社に職場を移した。それまでは週５日フルタイムで勤務していたが、転職によって週２回ほどの勤務に変わった。仕事での負荷が軽減されたことで、今では週に３回、バドミントンの練習に時間を充てることができるようになった。

　それでも練習の前後に保育園への送り迎えを行い、炊事や洗濯などの家事もこなす。大変な毎日だが、山崎が何事にも全力で頑張れるのは、子どもたちに感じてほしい“メッセージ”があるからだ。
　
「なんとか時間をつくっていくのは大変だけど、頑張るのはすごく良いことだし、楽しいこと。そういう姿を見せて、息子たちにも楽しく頑張れるものを見つけてほしいと思います」

　１５年からは日本選手権でシングルスを３連覇し、競技を始めてからわずか４年余りで国内のトップクラスに登り詰めた。国際大会でもここまで３つの金メダルを獲得するなど、目標とする東京でのメダルが視野に入ってきた。

「東京パラリンピックでメダルを取るところを見せたいですね。その頃には息子たちも物心がついていると思うので、覚えていてくれたらうれしいな」

　緊迫した試合でも、「楽しんでプレーするのが私のスタイル」と山崎。苦境を笑顔で乗り越える母の姿は、２人の子どもたちにとって、かけがえのない財産になる。

（取材・文：守田力／スポーツナビ）

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