長州力が3年ぶりのプロデュース興行 飯伏に合格点も、伊橋に痛烈ダメ出し

高木裕美

長州力が3年ぶりのプロデュース興行。「プロのレスラー」だけを集めた興行となった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 長州力プロデュース興行「POWER HALL 2018 〜Set Back the Clock〜」が14日、東京・後楽園ホールで開催され、1657人を動員した。

 長州は山口県徳山市(現・周南市)出身の66歳。学生時代はレスリングで活躍し、1973年に新日本プロレスに入門。翌年8月にデビュー後、師匠・アントニオ猪木の命名により、故郷・山口の旧名である長州とプロレスの祖・力道山から取って、長州力と改名。その後、先輩である藤波辰巳(当時)に「オレはおまえのかませ犬ではない」と噛み付き、一躍ブレークすると、その後は「維新軍」を結成するなど、“革命戦士”の異名を取ることに。84年にはジャパンプロレスを旗揚げして、ライバル団体である全日本プロレスに参戦した。

 その後、新日本に復帰するが、87年11.19後楽園大会では、前田日明による顔面蹴撃事件が勃発。この事件で新日本を解雇された前田は第二次UWFを旗揚げすることになる。新日本の現場監督となった長州は、95年には10.9東京ドームにて、新日本対UWFインターナショナルの伝説の対抗戦を決定するなど手腕を発揮。選手としては、98年の1.4東京ドーム大会で引退試合を行う。だが、“邪道”大仁田厚の再三に渡る挑発を受け、00年7.30横浜アリーナでのノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチで現役復帰。02年には新日本を退団し、翌03年にWJプロレスを旗揚げするも、短期間で崩壊し、その後はリキプロを設立したり、他団体に積極的に参戦しながら、現役生活を続けている。

熱烈ラブコールを送った飯伏とタッグ結成

“ゴールデンスター”飯伏(右)に熱烈なラブコールを送った長州は、タッグを結成した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 3年ぶりのプロデュース興行となる今大会に向け、長州は「『プロレスラー』という言葉を今の時代に使いたくない。『プロのレスラー』として頑張ってほしい」と発言。「プロのレスラーとしてリングに上がるなら、やるべきことをやってから上がるべき」と、トップレスラーのリング上での負傷が相次いだ昨年の状況に警鐘を鳴らし、自身が認める若手・実力派レスラーをダブルメインイベントにピックアップした。

 大トリとなるダブルメインイベント第2試合では、長州が飯伏幸太&伊橋剛太(DDTプロレスリング)と組んで、藤波辰爾&TAKAみちのく&関本大介(大日本プロレス)組と対戦。「プロのレスラー」にこだわって今大会をプロデュースしただけに、試合後は激辛なコメントも飛び出した。

 今大会で長州が最も熱烈なラブコールを送ったのが、“ゴールデンスター”飯伏であった。長州は飯伏について「一番、今の時代に合って、客を引き付けている魅力がある。見てみたい。感じたい」と、そのプロレスセンスや身体能力を高く評価し、真っ先に参戦をオファー。飯伏も「組めるんであればぜひ出させてもらいたい」とタッグ結成を熱望した。両者は09年10.12両国国技館で行われた「蝶野正洋25周年記念興行」において、6人タッグマッチで一度だけ対戦(長州&獣神サンダー・ライガー、AKIRA組vs.飯伏&初代タイガーマスク&4代目タイガーマスク組)。タッグを組むのは今回が初となる。

 一方、対角コーナーに立ったのは、かつて新日本マットで長州と“名勝負数え歌”を繰り広げた永遠のライバル・藤波。94年4.16両国で開催された第1回「SUPER J-CUP」で、長州がトップロープに飛び乗って飛ぶプランチャを見て「アイツは宇宙人か」と驚いた伝説を持つTAKA、かつては長州のまな弟子・石井智宏ともライバル関係にあり、現在も長州が「アッて思える力強さを持ってる」と一目置いている関本。この、そうそうたるメンバーの中で唯一、異色の存在であったのが、飯伏の親友であり、練習パートナーでもある伊橋であった。

伊橋に「プロレスやろうと思わない方がいい。死んじゃうよ」

長州から痛烈なダメだしを受けた伊橋(左)。ここから長州を見返せるレスラーになれるか!? 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 試合は長州と藤波の先発でスタート。関本が長州に逆水平チョップ、ストンピングを食らわせると、飯伏がスワンダイブ式ミサイルキックで飛び込み、すかさず長州がリキラリアット。開始早々、息の合った連携が飛び出す。関本は伊橋の巨体をボディースラムで投げると、アルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げるが、飯伏がカット。長州は関本をサソリ固めでとらえるも、今度はTAKAがカットに入る。10分過ぎ、藤波が伊橋、飯伏にドラゴンスクリュー。飯伏と伊橋はTAKAに連係攻撃を繰り出すも、伊橋のムーンサルトプレスはかわされて自爆。飯伏が場外へのバミューダトライアングルで相手チームを足止めする間に、長州がTAKAにリキラリアットを決め、飯伏がカミゴェからのシットダウン式ラストライドで仕留めた。

 試合後、長州は「スムーズには行ってたんですけど、やっぱり、今の若い人の動きと、自分としても動きが悪い部分があるので、感覚がつかめないというか。これはもう仕方ないですよ。飯伏はリング上のパフォーマンスで自分を魅せてる」と、メインイベンターとしての期待に応え、タッグパートナーとしての役割も果たしてくれた飯伏に感謝する一方で、もう1人のパートナーの伊橋には「おまえはダメだ。最後(メイン)に出ちゃいけない」と痛烈なダメ出し。試合中も、タッチワークのタイミングや連係の動きが飲み込めていない伊橋へのいら立ちを隠せず、味方でありながらストンピングをぶちかまして怒りをあらわにしていたが、バックステージでも感情が爆発。一通りコメントを終え、退場しようとした際も、捨て台詞のように「オマエはダメだ。プロレスやろうと思わない方がいい。遊びじゃないんだから。死んじゃうよ」と再度念押しするほど、「プロのレスラー」としての職務を果たせなかった伊橋をバッサリと斬り捨てた。

 また、長州とのタッグ、藤波との対戦というダブルの初遭遇を果たした飯伏は「勉強になりました。長州さんも対戦相手の藤波さんも、自分の中でいろいろ収穫できた。自分の中ではプロの仕事はできたかなと思っています」と、飯伏プロレス研究所の所長らしく、昭和のレジェンドたちからさまざまな要素を吸収した。

 その一方で、長州から「ダメ」を連発され、親友の飯伏からも「長州さんが言うのは真実じゃないかな、と。これが本物です。見たもの、話したこと、これがすべて。そのまま受け取ってもらえればいい」と、フォローされるどころか、傷口に塩を塗りこまれた伊橋は「言われると悔しいんで、どこかで見返せるように頑張ります」と、長州に認めてもらえるような活躍を誓った。

丸藤と鷹木が好連携で勝利 試合後は対角線での再会誓う

鷹木(右)と丸藤(左)がタッグを結成し田中&マサ北宮組に勝利した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ダブルメインイベント第1試合では、丸藤正道(プロレスリング・ノア)&鷹木信悟(DRAGON GATE)組vs.田中将斗(ZERO1)&マサ北宮(プロレスリング・ノア)組という顔合わせが実現した。

 丸藤は長州の同世代のライバル・ジャンボ鶴田さんの後輩であった三沢光晴さんのまな弟子。鷹木はDRAGON GATEの中では異彩を放つファイトスタイルで、他団体にも積極的に参戦。田中はかつて長州を現役復帰させた大仁田のまな弟子であり、海外マットなどでも活躍。北宮は長州が結成した革命軍や維新軍の参謀役であったマサ斎藤さんをリスペクトし、名前も風貌もファイトスタイルも踏襲している。

 開始早々、北宮と鷹木がチョップを打ち合えば、丸藤と田中も逆水平チョップ合戦を展開。北宮はコーナーで丸藤をとらえた田中ごと、ブレーンバスターでマットにたたきつける摩周を炸裂し、丸藤を監獄固めで捕獲。しかし、鷹木がパンピングボンバーを打ち込むと、田中が鷹木にエルボー、ダイヤモンド・ダスト。すると、鷹木も田中のお株を奪うスライディング式パンピングボンバーで反撃する。北宮は丸藤にスピアー、鷹木にサイトースープレックスをお見舞いし、丸藤に串刺しラリアットを炸裂。だが、丸藤は死角から飛び出す得意のトラースキック2発で形勢逆転すると、虎王、不知火とたたみかけて勝利。ノア同門対決で先輩の意地を見せた。

 初タッグを勝利で飾った鷹木は、丸藤を「天才」と認めた上で、「あんたとは闘う方が楽しいな」と呼びかけると、丸藤も「オレたちが組んでしまったら、相手がかわいそうだ」とニヤリ。今度は、対角コーナーに立っての再会を誓い合った。
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著者プロフィール

高木裕美

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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