ダノンプレミアム無敗の超速レコードV 三冠馬以来の破格パフォーマンス見せた

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次に目指すは来春のクラシック

左から中内田調教師、プレゼンターを務めた俳優の岡山天音さん、川田 【スポーツナビ】

 中内田調教師によれば、レース前に「王道の競馬をしよう」と川田と話し合ったとのことだが、その通りの競馬となった。他の15頭には申し訳ないが、現時点では能力も完成度もダノンプレミアムが1枚も2枚も上だった、ということだろう。格としては世代の頂点を決めるGIレースなのだが、ダノンプレミアムにとっては試金石、いや、通過点の1つのようにも思える。新進気鋭のトレーナーはレース後の共同インタビューで何度も「期待通り」という言葉を繰り返したが、その“期待”の先には当然、来春のクラシックが見えている。中内田調教師が語る。

「目指すところはそこですし、今後距離を延ばしていきたいと思います。今日はちょっと力んでいたので、そこが解消されれば楽しみが広がります。どのように皐月賞に向かうかはオーナーサイドと相談してからになりますが、もう1つ上の舞台でも戦えるようにしていきたいですね」

 マイル戦であまりにも強い競馬をしてしまったがため、ダノンプレミアムには今後この“距離”についての課題が取りざたされることになるだろう。中内田調教師自身、年末の中山2000メートル芝で開催される新設GIホープフルステークスではなく、こちらを選んだ理由として「中山への輸送や小回りの2000メートルと比べて、外回りの広い阪神マイルコースの方が合うと思ったから」と答えている。ただし、これはあくまでも「現時点では」。当然、来春に向けてこれらの課題を克服するための調教がなされるだろうし、もともとダノンプレミアムは1800メートル戦でデビューした馬だ。なにより、これは川田が強調していた同馬の長所なのだが、「とにかく賢い馬です。この賢さが全てのパフォーマンスにつながっています」と話すように、これからの育成次第でクラシックの距離を十分こなせる馬へと成長していくのではないか。そこはトレーナー、厩舎、牧場スタッフ、そして川田の腕の見せ所だろう。

着差・タイムはナリタブライアン、ウオッカに匹敵

目指すは来春のクラシック。ナリタブライアン、ウオッカ級の活躍を見せることはできるか 【スポーツナビ】

 そして、今回の走破タイム1分33秒3にも注目したい。ペースやその当時の馬場など、競馬のタイムは条件次第でいくらでも伸び縮みするだけに、一概にその数字のみをもって優劣はつけられないものだが、朝日杯FSが中山から阪神マイルコースに替わってから過去3回のレコードタイムは、2年前にリオンディーズがマークした1分34秒4だった。それを1秒1も上回るのだから、やはりこのタイムは破格中の破格。また、同じ条件の阪神ジュベナイルフィリーズを含めれば、06年ウオッカの1分33秒1に0秒2と迫るものだ。

 さらに、2着馬に3馬身半もの着差をつけての勝利は、前身の朝日杯3歳ステークス時代を含め、1993年のナリタブライアンにまでさかのぼらなければならない。

 もちろん、これらを理由にダノンプレミアムをウオッカ級、ナリタブライアン級とするのは早計すぎるが、それらレジェンドに匹敵する活躍を期待したいほどに、今日のダノンプレミアムの強さは圧倒的だった。

 前述した通り、12月28日には舞台を中山2000メートル芝に移して新設の2歳GIホープフルステークスが行われる。ここでダノンプレミアムを超えるパフォーマンスを見せる2歳馬は果たして現れるだろうか。無論、現れてこそ来春のクラシック戦線がより面白くなるわけだが。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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