昌子源「戦い方があいまいだった」 E-1選手権 韓国戦後、選手コメント
日本は韓国に1−4で敗れた。試合後の選手たちのコメントは? 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】
日本は前半3分に伊東純也が倒されて得たPKを小林悠が決めて先制するも、13分と35分にキム・シヌク、23分にチョン・ウヨンにゴールを決められ1−3で試合を折り返す。後半24分にはヨム・ギフンに直接FKを決められ、日韓戦では38年ぶりとなる4失点を喫した。
試合後、昌子源は「僕らがどういう戦い方をするのか、今日に関してはすごくあいまいでした」と振り返った。先制してからも前からいくのか、それとも後ろに下がるのか。逆転されてからどういうサッカーをするのかが定まっていなかったことを明かした。
他にも中盤の今野泰幸が「プレスがはまらなかった」と語り、前線の小林悠が「3バックを自分1人で見ている感じだった」と語るなど、各ポジションで選手たちがズレを修正できなかった様子がうかがえる。
昌子源(鹿島アントラーズ)
昌子によると、戦い方があいまいだった日本に対し、韓国はやることが徹底されていた 【Getty Images】
(1失点目について)あれは僕(の責任)かな。非常に難しい対応でしたけれど、(マークについたキム・シヌクは)1回つかんだあとにフォアへ逃げて、もう一回いった時にまたフォアにいって、ずっとフォアに残っていた。(車屋)紳太郎と少しコミュニケーションを取ろうと思ったけれど、紳太郎がいなかったので、少し迷っていました。あのままフォアについていって、僕と(三浦)弦太の間を空けるのか。そのタイミングで力でニアにこられたら(どうしよう)と、迷っているタイミングで(クロスが)上がってきたので、非常にもったいなかったです。
あれは相手の得意分野というか、あれが1つの戦術と言っていいサッカーになっていたと思います。いい時間帯に1点を取って、チームが落ち着いてやろうという時に……。今日は僕らは良い形を出せなかったですし、攻撃パターンがすごく少なかったと思います。リードされてからどういう戦い方をするかがチームとしていまいちはっきりしていなかった部分もあったと思いますし、今日は韓国の方が本当にすごかったと思います。
僕らが見習わないといけないところがたくさんありました。デュエル(球際の競り合い)もそうですし、(守備)ブロックを作るのが速かった。僕と弦太が顔を上げたときには、もう完全に11人そろっているし、中をすごく締めている。僕らがどういう戦い方をするのか、今日に関してはすごくあいまいでした。
韓国もラインが低かったと思います。僕らが背後に蹴れない状態にして、下(グラウンダー)で速いボールを入れたタイミングで両センターバック(CB)を含めてかなり前に強く出てきた。そこで潰して、また自分のポジションに戻るというのを繰り返していて、そこが徹底されていました。僕らのいいところが出せませんでした。
(裏を狙うというヴァイッド・)ハリルホジッチ監督のサッカーもあるし、僕らもラインを上げて、コンパクトにやろうと思ったけれど、9番(キム・シヌク)がいるからなかなか上げられませんでした。けれど、それに合った戦い方ができた可能性もあったんじゃないかと思います。
(先制後に引きすぎた?)僕はそうなると思っていました。心理的に分かっていてもあれだけ早く点が入ってしまうと、慎重になってしまう。僕も何年もやっていて分かっているので、監督に最終確認をしようと思いました。監督に「このゴールはなしと思って、もう1回前からいくでしょ」と聞いたら、「もちろん」という返答がきたので、チーム全体で「前からいくぞ」という話はしたんですけれど、やっぱりそういう(下がる)展開になりました。サッカーは心理戦が非常に大事だし、非常に難しかったです。本当に情けない試合でした。韓国の良さがすごく出ていました。僕らが悪いところもあったし、もちろん良いところもあったと思います。
僕は正直、初めてやったから韓国がどれくらいすごいか知りません。でも、今日の韓国は本当に隙がなかったです。中をしっかり締めて、(日本は)サイドに上げるけれど、すぐに(DFが)サイドにも出てくるし、バックパスしたら、もう一回全員が各ポジションに戻る。僕らが無理に真ん中に入れたタイミングでは、ボランチとCBが必ず降りた選手についてくる。それでバックパスしたらまた自分のポジションに戻る。それをすごく感じましたね。
(監督は相手を分析して指示を出してくると思うが?)それはちょっと答えづらい。逆にみなさんどう思いました? 出しているように見えたのか。(ベンチ前でいつもの熱い感じではなかったかなと?)監督の姿勢は試合中でも僕らに見えます。そういうところでどういう指示がくるのか、僕らもしっかり聞かないといけない。もちろん交代選手に伝えた指示も聞かないといけないけれど、今日はそういう指示があまりチームに回っていなかったと思います。
監督批判と思わないでくださいよ。でも、そういうのが大事だと思うし、チームとしてはっきりさせないと。特に、ずっと一緒にやっているメンバーではないわけですから。監督のやりたいサッカーを、新しくきた選手に伝えるのは当たり前じゃないですか。それを意識しすぎて、みんながそのプレーばかりになるとやっぱり勝てない。北朝鮮と中国は勝っている展開だったから同じサッカーができたけれど、ビハインドを負った時にどういうサッカーをするのか。ただでさえ、韓国は中を締めてきます。僕がそう思って、テレビで見ているスタッフに聞いたら、韓国はすごく速かったと。すぐにブロックを作っているというのはテレビでも分かったと聞いて、やっぱり僕らが体感していることは間違いじゃなかったと。攻守の切り替え、それは世界共通だと思います。コンパクトにしてラインを後ろが上げるのか、それをもっとチームとしてできたらなという思いが今日はありましたね。
今野泰幸(ガンバ大阪)
「プレスがはまらなかった」と語る今野。ボールの奪いどころが定まらなかった 【Getty Images】
(先制後に何が起きた?)なかなかプレスがはまらなかったですね。相手に中盤でフリーで持たせすぎましたし、そこから自由に蹴られた。サイドも振られたし、FWの高さも使われました。(ズレを修正できなかった?)やっている選手たちで話し合いながら修正しようと思ったんですけれど、なかなか前半のうちに修正できなくて、ズルズルといってしまって3点やられたって感じです。(先制した後に下がった?)意識的なのか、やはり点を取ったから守りに入ってしまうということがあります。ポジション(の問題)なのか分からないけれど、まったくプレッシャーが掛かりませんでした。相手のディフェンスラインも自由にボールを持っていたし、そこから中盤に当てるボールに対しても誰も(奪いに)いけなかった。そこはやっていて嫌な感じがずっとしていて、「自由に持たれているな、全然プレッシャーが掛かっていないな」と感じている間に失点を重ねてしまいました。
(井手口陽介がマークされている中で中盤の役割は?)陽介と(倉田)秋がもう少し前に行って、僕もディフェンスラインに下がるのではなく、相手の2トップの少し前で受けれればいいと思いました。けれど、相手の守備も良くてFWの1枚は絶対に僕(のマーク)に来るし、1人1人がタイトに付いてくる。だから中盤もどんどん下がってきてしまうし、なかなか(相手の守備)ブロックの中に突っ込めなかったですね。ブロックの外で回すだけであって、なかなか中に突っ込むパスが入れられなかったですし、入れてもひっかけられて相手のショートカウンターなどにつなげられてしまいました。
井手口陽介(ガンバ大阪)
井手口は監督の要求に従うだけではなく、メリハリをつけたプレーが大事だと語る 【Getty Images】
(試合を振り返って)立ち上がりの10分で自分たちの戦術では(プレスが)はまらないということが分かっていました。そこから戦術を変えて、相手の攻撃に合わせることが最後までなかなかできなかったから、ああいう結果に、相手のペースのまま終わったんじゃないかと思います。(どう修正しようとした?)はまらないと分かった時に、チームとして相手みたいにブロックを作るとか、極端に言えばもっと前からいくのか。どっちにするのか中途半端だったからやられたんじゃないかと思います。(コミュニケーションや意思統一は?)していたんですけれど、なかなか難しい。なかなかうまくいかなかったですね。
(11月の欧州遠征でも差は感じたと思う。今回の韓国戦は?)組織的でしっかりしたチームだったので、ああいうチームをどう崩すかというと、やっぱり真ん中だけでは崩せないと思います。監督が要求している「前、前」っていうのを素直にやりすぎていて、そこはピッチ内ではもっと自由にできればいい形はできたと思います。(監督が求める相手ディフェンスラインの)裏に抜けるということは悪いことではないので、それプラス、ボールを持つ時間というのが絶対に大事だと思うので、メリハリをつけながらもっとプレーしたらよかったですね。(個人としてレベルアップの必要性を感じたと思うが?)監督に言われていることを表現しながらですけれど、もっと自分の持ち味を出していかないといけないとこの大会で思ったので、両方しっかりとできるようにもっともっと頑張っていきたいです。
(ボール奪取という良さがこれほど出ない試合は初めてだったが?)それは僕個人としても反省しないといけないし、もっともっとアグレッシブにやればできたんじゃないかと思いました。(ボールを奪いに)前からいくと言ってもサイドに2〜3人いたので、そういうはめ方は練習していたと思います。練習していたのに、それができなかったからああいう結果になったと思います。